
現役時代、唯一表紙を飾った「週刊ベースボール1978年2月13日号」。オバケのような豪快なホームラン、さらに好人物ゆえに「オバQ」としてファンに親しまれた。湘南カラーのユニフォームが懐かしい
今季、一軍チーフ打撃コーチとして2010年以来となる古巣ベイスターズのユニフォームを着る
田代富雄コーチが、生き生きと若手を指導している。ひさしぶりに週刊ベースボールの取材に応じてくれた“オバQ”コーチは、「(週刊)ベースボールは若いころよく買ってたよ。俺も1回だけ表紙に使ってもらっことあるんだよ。当時は王(貞治)さん、長嶋(茂雄)さんが全盛。なかなか表紙なんか飾れなかった。だから嬉しくてさ。今も家にもあるよ」と懐かしんだ。
2010年まで横浜でコーチを務め、
内川聖一、
村田修一ら名スラッガーを育ててきた。
筒香嘉智もその1人。現役時代は自らも長距離砲で鳴らしただけに、こだわりの打撃論を叩き込んできたかと思いきや、田代コーチは「筒香はほとんどイジッてない」と言う。打者の短所ばかりを並べるのではなく、長所をとことん伸ばすのが“田代流”。独特な指導法で名打者をつくりあげてきた。
そんな名伯楽が今、期待するのが3年目の
細川成也だ。「こいつはすごいよ。スイングスピードもズバ抜けているし、迫力を感じる」と才能にベタぼれ状態。昨年まで
巨人の二軍打撃コーチとして対戦しているときから、パワーと飛距離に魅かれていたと言う。
その細川は高卒1年目で本塁打をマーク。日本シリーズでも安打を放つなど注目を浴びたものの、2年目の昨季は一軍11試合の出場にとどまり伸び悩む。田代コーチのアプローチが、20歳の才能を覚醒へと導くことができるか。
文=滝川和臣 写真=BBM