
外野手として一軍デビューを飾った白村
シーズン最終カードとなった9月26日の
オリックス戦(札幌ドーム)。試合前の先発、メンバーの発表でスタンドが一番沸いたのが「九番・レフト、白村」のスタメンのアナウンスだった。
2015年にはブルペンに欠かせない1人として50試合登板も果たした
白村明弘。そんな右腕に野球人生の大きな転機が訪れたのは、今年2月の春季キャンプ中盤。
栗山英樹監督、吉村浩GMから呼び出され、投手から野手への転向を通達された。
一瞬頭が真っ白になったが、すぐに頭と心を切り替え、今シーズン限りで引退した
田中賢介からバットとバッティングの際の手袋を分けてもらい、突貫工事で外野手としての野球人生をスタートさせた。
すべてがゼロからのスタートだったが、本人が振り返るように「シーズン中も本当に同じチームかと思うぐらい練習したし、バットを振った。それしか、みんなに追いつく方法はないから」とガムシャラに突っ走ってきた。
そんな男についにめぐってき一軍での「外野手としてのデビュー戦」。チームはAクラス争いから脱落し、若手起用にシフトしたこともあるが「野手として戻ってきたって感覚はない。チャンスを与えてもらえただけでありがたい。初球から行きたい」と起用への意気込みを口にした。結果は3打席連続空振り三振。悔しくもあり、これがプロのレベルであり、生半可な気持ちでは生き残れないことをあらためて痛感させられた試合となった。
栗山監督から自身が描くバッターのイメージよりさらに高いと伝えられ、期待の言葉をかけられたという白村。「(一軍に)勉強しに来たつもりもないですし、課題もいっぱい出ました」と“お試し一軍”だったかもしれないが、この経験を2020年シーズンに生かしていく。過去には
糸井嘉男(
阪神)、
雄平(
ヤクルト)らと成功例もある。
そう、本当の勝負はこれから──。外野手・白村の挑戦の日々はまだ始まったばかりなのだから。
写真=BBM