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高校野球リポート

サプライズ? 無風? センバツ選考3つの見どころを探る

 

「関東・東京」のラスト1枠


1月24日、選抜選考委員会でセンバツ甲子園に出場する32校が決まる(写真は昨年の選考委員会)


 いよいよ、球春到来だ。

 1月24日、大阪市内で第92回選抜高校野球大会の選抜選考委員会が行われる。午前9時、全国9地区の21世紀枠推薦理由説明から始まり、その後、選考委員会総会、21世紀枠特別選考委員会、地区別小委員会を経て、15時から21世紀枠3校、次いで一般選考枠29校が北から順に発表される予定である。

 そこで、見どころを3つ探ってみた。

 21世紀枠は9地区の推薦校から東日本(帯広農高、磐城高、宇都宮高、近大高専、敦賀高)から1校、西日本(伊香高、平田高、城東高、本部高)から1校を選び、東西を問わずに3校目が選出される。

 このうち、春夏を通じて甲子園出場経験がないのは近大高専(三重)、平田高(島根)、城東高(徳島)、本部高(沖縄)の4校。中でも近大高専は「高専初の甲子園」がかかっている。高等専門学校は全国57校(私立は3校)と希少で、入学後は5年間の一貫教育で技術者に必要な教養と専門知識を植え付ける(高校野球として活動できるのは、1年生からの3年間)。2010〜17年まで巨人に在籍した鬼屋敷正人が「高専から初めてドラフト指名を受けたプロ野球選手として話題となった。

 21世紀枠は午前9時から各地区の高野連役員が行う「21世紀枠推薦理由説明」のプレゼンにより、選考が大きく左右するだけに、その「トーク力」が見逃せない。

 一般選考枠では「関東・東京」のラスト1枠に注目が集まる。毎年、議論される地区だが、関東4・東京1が基本枠としてあり、残る1枠を「関東5位校」と「東京2位校」による比較検討となる。昨秋の関東大会準々決勝敗退校から、試合内容で花咲徳栄高が関東5位校に浮上することが予想される。東京2位校は昨秋の準優勝・帝京高がノミネートされることが有力だ。

 花咲徳栄高は昨秋の埼玉県大会優勝校で、山梨学院高(関東大会準優勝)との準々決勝では1対2の惜敗。なお、西武台高も優勝した健大高崎高に2対3と善戦しているが、埼玉2位の結果がどう評価されるか。一方、10年ぶりの出場がかかる帝京高は昨秋の東京大会で関東一高、日大三高、創価高と強豪校を撃破。ただし、国士舘高との決勝で完封負けしたことがどのような判断となるか、である。

「明治神宮大会枠」の恩恵は?


 3つめの見どころは「明治神宮大会枠」だ。昨年11月の明治神宮野球大会で中京大中京高(愛知)が初優勝し、同枠は東海地区に与えられた。つまり、一般選考枠が2から3へ増枠となったのである。この恩恵を受けそうな候補校は、昨秋の東海大会4強に進出した藤枝明誠高と加藤学園高の静岡勢2校。県大会は藤枝明誠高が5対4で加藤学園高を制して優勝を遂げた。ただし、東海大会準決勝では藤枝明誠高が中京大中京高に8回コールド敗退(5対12)したのに対して、加藤学園高は県岐阜商高に3対4の惜敗(延長10回)。この試合内容が選考委員の心にどう響くか、だ。なお、加藤学園高が選出されれば、春夏を通じて初の甲子園出場。また、九州地区では佐々木誠監督(元ダイエーほか)が率いる鹿児島城西高(昨秋の九州大会4強)も、出場が決まれば春夏を通じて初の甲子園となる。

 選考委員は毎年、担当ごとに各秋季地区大会を視察している。過去に監督など現場での指導経験が豊富な「野球人」であり、厳正かつ公正な視点で見極めていく。サプライズはあるのか? それとも無風で終わるのか? 「1.24」運命の日から目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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