間違いなく2013年ドラフトの最注目選手だろう。最速147キロの直球とキレのあるスライダーを武器に、昨夏の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を樹立。桐光学園高のサウスポー・松井裕樹は、一躍スターダムへと躍り出た。だが、世間からの注目とともに左腕には大きな重圧がのしかかる。世界一の左腕を目指す逸材が秘める可能性を、4つのキーワードを元に検証していこう。 取材・文=岡本朋祐、写真=中島奈津子、BBM Keyword 1「脱・奪三振」
年が明けても松井裕樹は何も変わっていなかった。始動日の1月5日。エースは正午からの練習開始1時間前、一番乗りでグラウンドに現れた。「よく、働くんですよ」と微笑むのは、1984年から桐光学園高を率いる野呂雅之監督だ。
年末年始、6日間にわたる休養期間で張っていたクモの巣を、丁寧に取り払っていたという。通い組が大多数の同校は、学年に関係なく15分前に集合すればよい。千葉の自宅から神奈川の同校へは通い切れない松井は寮生。電車を乗り継ぐ仲間よりも時間的に余裕があるため、雑用を率先したのだ。
「打球を遠くへ飛ばす打者、速いボールを投げる投手はどこにもいる。でも、最後は『人』なんですよ。本当に良い選手というのは・・・
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