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1カ月の公式コメントから見る

中島裕之 メジャー挑戦への意欲

 

12月17日(現地時間)に、アスレチックスと2年650万ドル(約5億4600万円※)の契約を結び、いよいよ念願のメジャー挑戦がかなう中島裕之
中島のプレーには、そのまま日本人内野手の評価につながるという大きなプレッシャーもかかるが、中島本人はどのように感じているのか。
12月の入団会見から1月の渡米前までの公式コメントより、その思いと意欲を探ってみたい。
※1ドル=84円で換算(契約当時12年12月17日のレート)

SCENE 1 オークランドでの入団会見(12.12/18=現地時間)
「団結力があって若い明るいチーム。最高のチームに入れました」

アスレチックスを選んだ最大の理由を聞かれ「ビリー・ビーンがカッコいいから」と答え、会見場を笑いに包み強烈なインパクトを残した会見から、アスレチックスに対する印象やメジャー挑戦の喜びの声を抜粋。

▲オークランドで入団会見に臨んだ中島。左はビリー・ビーンGM



――アスレチックスを選んだ理由は?

中島 チームに団結力があって、若い明るいチームだと聞いたことが一番の決め手。

――日本人メジャー・リーガーと連絡は取りましたか?

中島 球団が決まってイチローさんにメールした。西武の先輩だった松井稼頭央さんと岩村(明憲)さん、野手の方に連絡を取って聞きました。ホンマはみんなに電話をかけたかった。

――天然芝への対応に関して不安はないのでしょうか。

中島 もともと内野手ではなくプロ野球に入った。そこからコツコツとやって、メジャーに来られるようになった。毎日練習しながら対応していきたい。

――昨年ヤンキースと契約しなかった理由は?

中島 オファーはうれしかったが、毎日出られるか分からなかった。いろんな選手もいて勉強になるから行きたい気持ちはあったが、1年待てばほかの球団とも交渉できるというので待った。最高のチームに入れました。

――メジャーの遊撃手のイメージは?

中島 日本ではファインプレーの映像が流れるので、すごいと思っていた。マネできたらやってみたい。

――打撃ではどんな貢献をしたいか。

中島 日本でもホームラン打者ではなかったので、間を抜く打撃と、粘って1球でも多く球を投げさせられるようにしたい。

SCENE 2 西武球団事務所での会見(12.12/21)
「感じたままにやりたい。うまくいってもダメでも自分にはプラスになる」

オークランドでの会見から2日後、帰国し、埼玉・所沢の西武球団事務所で記者会見。
「12年間西武ライオンズでやらせてもらって、いろいろとサポートしてくださった監督、コーチ、スタッフ、ファンの皆さんに感謝したいです」とお礼を述べ、メジャー挑戦にかける思いを語った。

▲「今年は無事にチームが決まって帰ってきました」と笑顔で会見に臨んだ



――現地で入団会見をして、そのときの心境は?

中島 初めて日本で入団会見したときは何人も選手がいたので、また違う雰囲気の会見で新鮮でした。

――現地での会見では英語で自己紹介をしていましたが。

中島 前の日の夜にみんなにも考えてもらいながら、必死に覚えました。

――いろいろな球団と接触があったのではないかという報道もあったが。

中島 いろんな球団、日本からも話をもらって、試合に出る機会とかも含めて代理人とも話し合い、相談しながら、決めました。

――アスレチックスは内野手の移籍などもあり、正遊撃手としてプレーできる。

中島 ショートでやらせてもらえるということで、どういう結果になるかは分からないんですけど、いつもどおり自然にやります。

――自信のあるところ、アピールしたい部分は?

中島 守備もきっちりやりたいですけど、やはり打つ方でしっかり結果を残したいと思います。

――シーズンの中でもメジャーへ行くための準備として臨んだり、考えたりすることはあったのでしょうか。

中島 そんなに特に考えてはなかったですけど、外国人選手とかに対戦チームのピッチャーが外国人だったら、「今日は向こうの予行練習のつもりでやれよ」と言われました。

――対戦が楽しみな投手は?

中島 ダルビッシュと言えばいいの(笑)? そんなにピッチャーをいっぱい知っているわけではないので、日本で楽しみにしてくれている人がいるのであればダルビッシュがいいんじゃないですか(笑)。ダルビッシュともまた対戦できるし、岩隈(久志)さんも同じリーグなので、日本人選手と対戦できるんですけど、メジャー・リーグのエース級の人と対戦したい。特に誰というのは思い浮かばないけど。

――メジャーでの日本人の内野手の評価は厳しいが、その評価を変えてやろうという思いは?

中島 いや、別に自分が変えたろと思ってやることもないし、感じたままにやりたいと思います。まずは行ってみて。うまくいってもダメでも、行ったことでいろんな経験ができるし、自分にはプラスになる。

――いつくらいから、何がきっかけでメジャーへ行きたいという思いが出てきたのか。

中島 2004年のあとに日米野球に出させてもらって、そのときに同い年くらいのメジャー・リーガーがいて、そういうのに刺激を受けた。

――不安に思っていることは?

中島 お風呂が心配ですね。バスタブがある家を探したい。野球に関してはテレビで見ているくらいなので、まだ分からないですね。

――食事に関しては?

中島 大丈夫です。むしろ刺身とか寿司とか苦手なので、向こうでも食べたいと思うことはあまりないんじゃないですか。

――1年の試合数も多いし、移動距離も長い。それに対する対策は?

中島 何もまだ考えていないですね。移動はチームのチャーター機とかになるかと思うんですけど、どこでもそれなりに眠れるので、暇を見つけて寝とこうかなと思います(笑)。

――西武でのこれってくることも出てくると思います

中島 とりあえずとしてはどこでも出られるように準備する。打順によっては走るようなくると思うけど、監と話しながらやったい。

――アメリカでこんなプレーを見せたいいうのは?

中島 毎日プレーしいる姿を日本の人に見せたいなと思いね。

――夢や目標は?

中島 数字的な目標はまだ決めてせん。まだ行っていないんで、なんとも言えない。今は、とにかく試合に出たい。それだけです。

――日本人選手は天然芝に苦労するが、WBCで実際にプレーしたときにはどんなふうに感じた?

中島 日本にある、ほっともっと(フィールド)神戸みたいな感じではなかった。土の部分がもうちょっと硬いといやすかったかなと。土の部分が軟らか過ぎると動きにくいんで。WBCでやったときの感じ、そんな嫌な感じではなかった。

――アスレチックスのメルビン監督が松井秀喜選手やイチロー選手に中島選手の印象を聞いていたという報道もありましたが。

中島 契約の前の日に、食事をしたときにそういう話を聞いて、すごいうれしかったですね。イチローさんとはWBCや一度練習を一緒にしたことがあったんですけど、松井さんはそんなに面識もないのにそう言っていただいて本当にありがたいなと思いました。

――バッティングの師匠である土井正博さん(元西武ヘッドコーチ)とはメジャー行きに関して、どのような話をしたのでしょう。

中島 土井さんからは早く2000本を打ってくれというふうに言われているので、メジャーに行っても試合に出たり出なかったりするような感じだったら、はよう帰ってきて、日本で2000本打ってくれと。で、一緒に飲もうと言うてもらっているので、早く2000本を達成するようにこれからやりたいなと思います。

――ファンにメッセージを。

中島 ずっと応援してもらって、ほんまにうれしかったですし、またこれからは機会があればテレビででも見てもらえたらなと思います。

SCENE 3 西武第二球場での自主トレ後(13.1/14)
「新しいことだらけで最初は疲れるんじゃないかと思う」

西武では1年後輩となる栗山巧とともに西武第二球場で自主トレを行い、報道陣の取材に応えた。
渡米、キャンプインが間近に迫り、コメントにも少しだけ緊張感を感じさせた。

▲自主トレ後に報道陣にコメント。右は栗山



――西武での新人時代にも合同自主トレをした西武第二球場の室内練習場で自主トレをして、感想は。

中島 (新人選手たちが隣にいて)アメリカに行ったら自分もルーキーなので、重なる部分があると思いながら見ていました。僕もアメリカで一生懸命やりたい。

――メジャー対策などは?

中島 特にどうこうはない。まだやってないので、特別何かを変えるということはないです。とりあえず今までどおり、試合に出してもらえるように。

――全試合、フルイニングで出たい?

中島 日本でもフルイニングにはこだわっていなかったから。まあ、出してもらえるだけ出たい。

――自主トレではどのようなことを?

中島 バット振ったり、アジリティーをやっています。重いトレーニングは12年内までで、今は体を動かすことを中心に、野球で使う筋肉を動かしている。

――シーズン後半はケガもあったが、今の状態は?

中島 悪かったところも治っているので、いまは自主トレで動ける体を作っています。

――初めてのメジャーでのキャンプに不安は?

中島 西武でのキャンプも始めは何も分からなかった。アメリカに行ったら、またそんな感じでしょう。みんながやっていることを見ながら、キャンプの流れをつかみたいけど、新しいことだらけで最初は疲れるんじゃないかなと思います。

――メジャーでの練習は、そんなに量が多くないというが、調整の違いなどに関する不安は?

中島 もともと不安はないです。やり過ぎないようにだけ気をつけます。

――数字的な目標などは。

中島 目標はまだ考えていない。僕はコツコツやっていくタイプなので、慣れればいいようになるやろうし。毎日ニュースに出られるように頑張ります。数字は好きなように書いてください。



PROFILE
なかじま・ひろゆき●1982年7月31日生まれ。兵庫県出身。181cm90kg。
伊丹北高から01年ドラフト5位で西武に入団。2年目の02年に一軍デビュー、4年目でレギュラーに定着。06年から5年連続で打率3割をマークし、北京五輪、WBCでも日本代表として活躍。
主なタイトルは最多安打(09年)、最高出塁率(08、09年)、ベストナイン(08、09、11、12年)、ゴールデングラブ(08、11、12年)。12年成績は138試合出場、打率.311、13本塁打、74打点、7盗塁。
12年12月17日(現地時間)にアスレチックスと契約。
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