固い絆で結ばれ、国民栄誉賞同時受賞も果たした長嶋茂雄と松井秀喜。 1993年、松井が長嶋監督率いる巨人に入団したが2人は当初、どのような関係性だったのか。 松井の新人時代、打撃コーチとして間近で接してきた中畑清が見た2人の師弟ストーリーの始まりとは――。 文=永瀬郷太郎(スポーツニッポン新聞社) 写真=BBM
「本人が納得するまで手を出すんじゃないぞ」 長嶋茂雄と松井秀喜。その師弟関係を2人の間で見てきたのが現在
DeNA監督の中畑清である。1992年オフ、師と仰ぐ長嶋の監督復帰と同時に巨人打撃コーチに就任。長嶋がドラフトで引き当てたゴールデンルーキーの指導に当たった。
中畑 ミスターはゴジ(松井)にものすごく気を使っていたね。1年目(93年)のキャンプでは“今のところは好きに打たせろ。打てなくていいから。本人が納得するまで手を出すんじゃないぞ”と言って、俺に触らせてくれなかった。 フリー打撃では豪快にサク越えを連発する規格外の新人。しかし、中畑の目に修正すべき点は明らかだった。「ありとあらゆる関節が硬い。動きがロボットみたいで、柔軟性がまったくない。これじゃあプロのスピード、変化球にはついていけない。実戦になったら打てないな」。そう思っても長嶋の指示に従い、出したい言葉をグッとこらえた。
「キヨシ、もういいぞ。やれ」
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