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達川光男[元広島]が語る

あの人、あの技

 

1978年に広島に入団。強豪チームを正捕手として支え、引退後も監督・コーチ、解説者としてプロ野球を見つめてきた達川氏。
『囁き戦術』や『“自称”死球』などのテクニシャンとして知られる同氏が語る、思い出の技とは。
取材・構成=吉見淳司
写真=BBM

驚かされた川相の一言

『プロの技』と言われて、真っ先に思い出すのは川相昌弘(元巨人ほか)のバントですね。彼がデビューした84年に対戦したときのことですが、無走者で2ストライクに追い込んだときにセーフティーバントの構えをしたんです。「おい、ファウルになったら三振だぞ」と言うと、「バントには自信があります」と返してきてビックリしました。僕が対戦してきた中で、ランナーなしの2ストライクからバントの構えを取った選手は初めて。それほど自信があったんでしょうね。

 今、思い返せばそれが彼の原点。通算533犠打の世界記録を樹立したプロフェッショナルの技でしたね。実はその後、彼が送りバントを仕掛けてくる場面では、何度チャレンジしてもフォースアウトにできないから、次第にバントシフトを敷くのを止めたんです。どんな場面でも、ものの見事に決められましたね。

 同じ打者なら、僕たちの年代の最強打者は落合博満さん(元ロッテほか)。広角に打ち分ける技術は最高でした。落合さんが打ったあとの打席の足跡がまたすごい。蹴り足が強くて土がとてもえぐれているんですよね。特に踏み込み足は足形が深く残っていて……あれほどの力強い足の運びは後にも先にもありません。

 逆にインコース打ちだと・・・

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