週刊ベースボールONLINE

名人芸、職人芸で見るプロ野球

特別コラム・“名人伝説”を語る

 

日本人はなぜか内野手の名人伝説を好む。メジャーに一番及ばない部分なのだが、日本人の心性、感性にかなうのだろう。投手の技術と外野手の攻守が実は最も日本人が得意な部分なのである。
文・大内隆雄

 テキサス・レンジャーズに、弱冠20歳のショートがいる。その名はプロファー。恐るべき強肩と、体操の選手のような柔らかくて強い身のこなし。外野の芝生にかなり深く入り込み、体勢を崩したまま、ゴロをキャッチ。そこから振り向きざま、一塁へ。ワンバウンド送球なのだが、バウンドしてからがすごい。そこから、またひと伸びして一塁手のミットへ。

 のっけからミもフタもない話になってしまうが、こんなショートはいまの日本のプロ野球にはいないし、過去にもいなかった。こと内野手の守りとなると、メジャーと比較してしまえば日本のプロフェッショナルたちの“名人伝説”、残念ながら、かなり色あせてしまうのである。

高木守道の信じられないグラブトス


 だが、日本のプロ野球は、その内野手の名人伝説が最も多いのである。白石敏男(巨人)の逆シングル、苅田久徳(セネタースほか)、千葉茂(巨人)の一塁手を見ない送球。高木守道(中日)のバックトスとグラブトス。三宅秀史(阪神)の超強肩とスナップスロー。大橋穣(阪急ほか)の正確で強い送球。山下大輔(大洋)のスナップスローと三塁時代の素手捕り送球。松原誠(大洋)のタコ足捕球etc。

 極めつきは、捕るが早いか、投げるが早いか、の“牛若丸”吉田義男(阪神)。

 長嶋茂雄(巨人)がいないじゃないかって?残念ながら・・・

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