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記録は、雄弁に語る!!

OPSランキングで探る歴代最強スラッガー

 

スラッガーと聞いて思い浮かべることは何だろう。当たり前のように用いられる野球用語だが、明確な基準は存在しない。

そこで、今回は主にメジャー・リーグで活用されている選手評価手法・セイバーメトリクスの項目の1つである“OPS”に注目。

出塁率と長打率の和によって算出されるOPSは、打者の総合評価指標として用いられており、その数値が高いほど好成績となる。ホームランだけではダメ、短打だけでももちろんダメ。

長打力があり、かつアベレージも必要と、まさに最強打者を見極める数値なのだ。ここでは過去から現在に至るまでの“スラッガー”をランキング(NPBで4000打席以上)。オールタイムベストな最強打者が見えてきた。

※OPSはOn base Plus Slugging percentageの略で、『OPS=出塁率+長打率』で求められる。「.800」を超えれば好打者で、「.900」を超えればリーグを代表する強打者とされる。記録はすべてNPBのみのもので、2013年7月23日時点。



世界の王が傑出した強打者
 後世に残る通算868本塁打の記録を持つ「世界のホームラン王」が、予想どおり強かった。9割を超えればリーグを代表する強打者と言われるOPSで、22年間の現役通算1.080は驚愕の数値。10割を超えているのは、4000打席以上ではこの王だけで、2000打席にまでハードルを下げてみても、バース(元阪神)の1.078、ペタジーニ(元ヤクルト他)の1.051しか存在しないから、そのすごさが分かる。

 なお、NPB史上最高OPSを記録した74年は、打率.332、49本塁打、107打点で、前年に引き続き2度目の三冠王に輝いた年。他にも首位打者5回、本塁打王15回(歴代最多)、打点王13回を見れば、OPSで弾き出すまでもなく「最強」なのだが、あらためてこの数字が王の偉大さを物語っている。

 ちなみに、シーズンでは、プロ5年目の63年1.092から16年連続16回の10割超え、その内、5度が12割超えは後にも先にも例がない不世出の大記録。しかも、NPBシーズン記録ベスト10に6シーズン分がランクイン。王が長期間にわたってセ・リーグで、そして日本球界で、群を抜く力を発揮し続けたことの証明である。



巨人最終年にキャリアハイ
 高校3年夏の甲子園2回戦で明徳義塾高から5敬遠。高校通算60本塁打の松井を『1人だけプロがいる』と敵将が警戒したためだが、「スラッガー」のイメージはこの当時からあった。巨人入り後、特に4年目から右肩上がりに成績を上げ、この96年は初めて開幕四番でスタートし、打率.303ばかりか、38本塁打、OPSも1.023を記録するなど日本一に貢献し、セ・リーグMVPにも輝いた。

 03年のヤンキース移籍までの10年間で332本塁打、通算ではOPS10割にわずかに届かなかったが、50本塁打した巨人最終年の02年にキャリアハイの1.153を記録するなど、5度の10割クリアは強打者の証だ。ただし、メジャーでは04年の.912が最高で、日本の様に長距離打者たり得なかったのが残念。



圧倒的な長打力で日本を席巻
 並いる助っ人外国人を抑えて、3位にランクイン。筋骨隆々で、真下から突き上げるような豪快なアッパースイング、1年目から49本塁打と、圧倒的な長打力で日本球界を席巻したホームランアーチストだ。穴が多そうだが、日本在籍12年間のうち規定打席に到達した7シーズンで5度の3割をマークするなど、器用さも併せ持っており、OPSも02年から4年連続で10割超え。その間、2度のパ制覇、1度の日本一に四番打者として貢献した。

 なお、02年に記録した自己ベストの1.223は、NPBの歴代記録でも6位の好成績。さらにその年は王貞治、タフィー・ローズの持つ日本記録に並ぶ55本塁打を放つなど、手のつけられないパフォーマンスを見せていた。記憶にも記録にも残る最強助っ人なのである。



史上最多3度の三冠王
 史上最年少(28歳)の三冠王にして、史上最多3度の三冠王。自身のことを真のホームランバッターではないと否定しているが、本塁打王5回、85〜86年には当時NPB記録で、現在でもタイ記録の2年連続50本塁打をマークするなど、20年間で通算510本を放っている。ちなみに、2000安打、2000試合出場など、節目となる記録、試合はすべてホームランで達成している。

 なお、85、86年はOPSでも12割超えを果たしており、自己ベストの1.244を記録した85年、1.232だった86年はいずれも三冠王に輝いている。ロッテ時代に5度の10割超え、87年中日移籍後も3度、10割超えを果たしており、清原和博中村紀洋など信奉者も多く、その後のスラッガーたちにも多大な影響を与えた。
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