与えられた役割が、自覚を促し、人を大きく成長させていくのだろう。 今季、不動の四番打者・中村剛也を欠くライオンズ打線で、その役割を担って、スラッガーとしての才能を開花させているのが大阪桐蔭高の後輩でもある浅村栄斗だ。 5月から四番を任せられると、ポイントゲッターとしての仕事を果たし、首位・楽天を追うチームにあって大きな推進力となっている。 驚異の成長曲線を描く23歳に、好調の理由について聞いた。 取材・構成=田辺由紀子 写真=大泉謙也、林伸吉郎(インタビュー) ――今季、打撃が好調ですね。65打点は7月28日時点でリーグトップ。好調の要因は分析できていますか。
浅村 はい。今までは何でもかんでも、とにかく振っていたところがあったのですが、今年は打席の中で余裕があり、状況もしっかり頭の中で整理して打席に入れるようになっています。もちろん、自分自身のバッティングのレベル自体も上がっているとは思うのですが、そういったところも好調の要因かなと思います。技術的にはタイミングの取り方など、多少変えた部分もありますね。
――具体的に教えてください。
浅村 これまでは結構タイミングを早く、足を上げてすぐに振り出す感じだったんですが、今はゆっくりと足を上げて、その分、ピッチャーとの間合いもとれて、より大事にスイングできている感じはします。――意識している数字はありますか。浅村 今、打率も打点もいいところにいるので、そこは意識しますね
特に、今は四番を打たせてもらっているので、三番の栗山(巧)さん、その前の一・二番が打ってくれて、いい形で僕に回ってきます。そのときにランナーをかえせるようにと考えているので、結果的に打点は意識していますよね。
――当然、プレッシャーがかかる場面で打席に入るわけですよね。
浅村 もちろんプレッシャーはあるんですけど、今はそれも程よい緊張感で打席に入れています。チャンスだからといって、あまりガツガツいかないように、いつもどおり、ゆっくり打席に入るようにしています。
――昨季までは打てない打席のあとには、気持ち的に引きずることもあったという話もしていましたが。
浅村 今は、しっかり一打席一打席切り替えてできていると思います。そこは、変わったところかもしれません。例えば、内野ゴロでアウトになったりしたときにも、奈良原(浩、守備・走塁)コーチが「次、次」と声をかけてくださるので、打てなかったら仕方ないし、次、頑張ろうと切り替えていますね。
――5月29日から四番を任されています。当初「四番目の打者」というふうに話していましたが、実際に約2カ月を四番として打席に立って、意識が変わってきたところなどはありますか。
浅村 どうですかね。四番自体に対しては…
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