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今夏も大きな盛り上がりを見せた甲子園大会。

初出場初優勝を遂げた前橋育英のエース・高橋光、甲子園最速タイの155キロをマークした済美・安樂ら、昨年の桐光学園・松井に負けじと、今大会も2年生投手が大きなインパクトを残した。

そのほかにも、横浜・高濱ら2年生野手、作新学院・朝山ら1年生プレーヤーが躍動。

そこで、今週は聖地で輝きを放った高校1、2年生の「逸材」を中心に、近未来のドラフトで主役となる候補生たちをご紹介しよう。
写真=BBM



Kouna TAKAHASHI
[投手/前橋育英2年]


前橋育英の夏初出場初優勝の立役者となったのは、間違いなく2年生エース・高橋光成だ。2014年のドラフト戦線を変えるニューヒーローの誕生に日本中が沸いた。

 2年夏で甲子園の胴上げ投手に輝くのは2005年の駒大苫小牧・田中将大(現東北楽天)以来だ。だが、高橋光成の投球内容は、主に救援登板だったマー君とは比べものにならないほど充実していた。イニング数では田中の25回2/3の約倍にあたる50回。防御率は田中の2.81に対して0.36。すでに最速150キロを投げ込んでいた「北の怪腕」の一方で、「上州の新怪物」の完成度の高さも、2年生を超越していた。延岡学園との決勝の4回が、今大会45イニング目にして初の自責点。準々決勝(対常総学院)での救援勝利を含めて全6勝を挙げ、5完投(2完封)をマークした。初めて準決勝前に設けられた「休養日」も有効的に使い、全国3957校の頂点に立っている。まだあどけなさが残る16歳。高橋光はハニカミながら言った。

「甲子園のマウンドは、自分を後押ししてくれるんです。独特の雰囲気に、いつも支えられました」

 活躍の予兆は1回戦(対岩国商)からあった。3回の一死から6回の一死まで9者連続三振は、桐光学園・松井裕樹に次ぐ史上2位。昨夏に続く「2年生ヒーロー誕生」に、ネット裏に陣取るNPB12球団のスカウトもペンを走らせた。2014年のドラフト戦線は、大会前までは済美・安樂智大の独壇場だったが、高橋光の台頭によって変化を見せている。

「安樂は球威で、高橋はキレ。いずれ150キロも出すでしょう。球速表示以上に速く感じる。来年が楽しみ」(巨人・山下哲治スカウト部長)

「そういう年(安樂)は、他にも出てくるものなんですね。高橋君には潜在能力があります。体(188センチ)の大きさにしては、よく腕が振れている。変化球も真っすぐも同じ鋭さだから、初めて見るバッターはタイミングが取りづらいはずです」(北海道日本ハム山田正雄GM)

 連投を可能にさせたのも、オンとオフができるから。走者なしの際は丁ねいにボールをコーナーに集め、得点圏に背負った際はギアチェンジ。白い糸のようにミットに吸い込まれる真っすぐに、タテ変化のスライダー、フォークが向かってくる。腕の振りが一定だから、追い込まれた打者はボール球でも手が出る。甲子園でもピンチの場面で三振を取った。


計画的なトレーニングで
得た「剛+柔」の投球

 今でこそ安定感抜群も、広島福井優也の兄・和真コーチによれば...

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