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▲途中出場で試合を動かした亀井と松本(31番)。松本は1安打、2四球でいずれも得点のホームを踏み、亀井は1四球、1犠打で好機を広げた





巨人はなぜ3点のリードをはね返すことができたのか?
第3戦までは決め手を欠いた巨人打線に、ようやく“1本”が出て接戦を制した。今シリーズで不振を極めるクリーンアップに活を入れるべく、途中出場の“脇役”たちが躍動した――。

お立ち台へ上がり主役となった、3安打3打点の一番・長野久義と、決勝打を放った二番・寺内崇幸の2人。だが、真のヒーローは2人の脇役だったことに異論はないだろう。

 3点ビハインドの4回裏、先頭・中井大介の代打に送られた松本哲也、続くホールトンの代打・亀井善行が連続四球を選び、長野の適時打、阿部慎之助の犠飛でそれぞれ生還。1点差に迫った5回裏にも、松本が四球、亀井が相手失策で出塁し、本塁を踏むと、7回の決勝点は安打で出塁した松本哲が生還したものだ。「われわれがやってきた『全員野球』を、2人が体現してくれた。非常に大きい勝利」(原辰徳監督)

 打線7人を組み替えたことは、指揮官なりの方策だった。第3戦までのスタメンから外された亀井だったが、「出たところで結果を出すだけ。めちゃくちゃ集中しました」と奮起。松本哲も「いつでも行ける準備はしていた」と、シリーズ初打席から結果を残し、主役へバトンをつないだ。「あとは三〜五番(坂本勇人、阿部、村田修一)がね」(原監督)

 川上哲治元監督の訃報が届いたこの日、V9達成時以来40年ぶりとなる日本一連覇へ、踏みとどまった。

▲3打点と勝負強さを見せた長野(右)と、その長野が敬遠された7回一死一、二塁でしぶとくライト線へ決勝打を運んだ寺内がヒーローに



▲初回、ホールトンの出ばなをくじく3ランを放ったジョーンズ。序盤の流れは楽天にあったが……



10月30日(水)/東京ドーム
◆開始18時18分 ◆観衆4万4968人

(巨)ホールトン−今村−澤村−○マシソン−S山口
(楽)ハウザー−宮川−小山伸−●長谷部−金刃
(本)ジョーンズ1号(1回=ホールトン)

Match Report

巨人が本拠地で意地を見せ、接戦を制して対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。巨人は1点を追う5回裏、長野が左中間へ2点適時二塁打を放ち逆転。その後同点とされて迎えた7回一死一、二塁の好機から寺内が貴重な決勝適時打を放ち、再度勝ち越しに成功した。敗れた楽天は、初回にジョーンズの3ランで3点を先制するも、投手陣が12四死球と崩れ、リードを守ることができなかった。

荒木大輔[野球評論家] POINT IN CHECK!
細部の徹底にGの強さ



 一番のポイントは4回裏、3点を追う巨人の攻撃で先頭の代打・松本哲が四球を選び、続く亀井が9球粘った末に四球で一番・長野につないだ場面。長野の右前適時打で、一走・亀井はきっちりと三進しましたが、つないでさらにチャンスを広げることは巨人ナインに徹底されています。さらに、三塁の村田が2度、犠打を封じるなど、堅守も発揮。打つだけでなく、守りも優れ、総合力が高いのが巨人の強さといえるでしょう。
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