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突き抜けられない自分に、もどかしさを感じていた。FAでの移籍はその閉塞感を打破するための手段だ。生まれ育った地に本拠を構えるソフトバンクを第2の野球人生を歩む場所に決めた。新たな自分に生まれ変わるために――。

取材・構成=菊池仁志 写真=佐藤真一

※このページの最後に中田選手の直筆サイン入り色紙、ボール応募についてお知らせがございます

求めたのは仕事がしやすい環境

――今回FA宣言をし、プロ入り以来9年間在籍した中日をはじめ、ソフトバンク、阪神ヤクルトの4球団が獲得の意思を表明。その中からソフトバンクを選びました。

中田 僕にとって一番野球がやりやすい環境、長く野球ができる環境はどこなのかを一番に考えました。大学3年時に内転筋を痛めたことをきっかけに右肩の調子を落としたことがあったのですが、そのときに診ていただいた理学療法士の先生が北九州にいまして。

プロ入りしてからもオフは1カ月くらいかけて練習しながら体を診てもらっていました。若いころは元気だったのでシーズン中に行くことはほとんどなかったんですけど、ここ2〜3年は広島遠征の練習日に足を運んだりすることが増えて、その方が近くにいれば、仕事の面で心配なくできる、それが一番の決め手でしたね。




――来季は32歳になります。

中田 30を過ぎてから、体に手を入れてもらうことは増えましたね。その先生には大学3年のとき以来、11年間診てもらっているので、新たな場所で新たにそういう方を見つけるのは難しいという部分もありました。

――体の変化は感じるものがあるのでしょうか。

中田 24、25歳くらいのときのメチャクチャ元気な時期とは若干違ってきていますね。まだまだ元気ですけど、体のメンテナンスについては気を使うに越したことはありません。自分の体のことは分かっているので。

――ただ、プロ入りしてから1年間を棒に振るような大きなケガはありません。

中田 シーズンの開幕に間に合わないとか、途中で抜けてしまうということはありましたが、1年もかかるというような故障はありません。

─―北九州市の出身です。それもソフトバンクを選んだ理由の一つではないかと思うのですが。

中田 そうですね。生まれ育った場所というのはありますし、大学まではずっと実家から通っていたので。やっぱり地元っていうのは意識の中にあって、「帰ろうかな」という思いはありましたね。

――ご家族との距離も縮まります。

中田 母が北九州に残っていますし、姉も近くにいます。



――独身の中田選手ですが、地元で結婚を考えているようなことは?

中田 (笑)。年齢のこともあるので、それをよく言われるんですけど、そこはゆっくり考えたいです(笑)。イヤ、ダメですね、この手の質問は。野球の話をしましょう(笑)。


▲落合前中日監督(現GM)に「暴れ馬」と名付けられた勢いある投球が持ち味。今季の先発としての白星は4月29日の巨人戦(ナゴヤドーム)の1勝のみ。新天地で覚醒を誓う



さらなる向上のため心機一転の「11」

――ソフトバンクとの交渉の中では、球団からどのような期待の声をかけられたのでしょうか

中田 今年は先発ピッチャーがうまく回らなかったということを聞きまして、先発としてしっかり投げてほしいという思いを伝えられました。

――中田選手の希望としてもやはり先発で、という思いが強い?

中田 そうですね、はい。今年は中継ぎも経験させてもらったんですけど、これまでもずっと先発でやってきましたので。

――今回のFAも、今季、中継ぎに配置転換となったことに対するわだかまりが少なからずあったのでは?

中田 いや、それはないですね。そのことが不満でというのではないです。あったのはここ数年勝ち星がなかなか伸びなかった自分への閉塞感ですかね。気持ちの中で何か吹っ切れるものがないなあと。

もちろん、真剣にはやっているんですけど…

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