タイガース強化へ、すべてをタテジマに捧げた。平成元年(1989年)の入団から25年、敏腕スカウトが昨年限りで阪神を退団した。プロ野球未経験ながらも、豊富な人脈と独自の視点で、有力選手を続々と獲得。球団史上最長の四半世紀にわたって“虎の恋人”を追い続けた。(ドラフト年度表記は開催年) 退任が発表された翌日に胡蝶蘭のサプライズ
毎年1月上旬、阪神には社員旅行がある。1泊2日。球団職員の1年間の労をねぎらう場となっているのだが、スカウトが同行するのは難しい。高校、大学、社会人の現場ではちょうど、新年の練習始動と日程が重なるからだ。菊地敏幸氏もこの25年、参加した記憶はほとんどない。
「自由獲得枠を含めて逆指名があったころはそれこそ、新年のあいさつ回りは絶対に外せない仕事となっていました。目当ての選手にはまさに『密着マーク』する時代でしたから。希望獲得枠が撤廃された2008年以降は、仮にスケジュールが重複しても旅行が優先となっていますが、タイガースの場合は、そうもいかない事情があったんです。有力選手のスカウト視察をメディアが報じる昨今ですから、露出が多く、世間からの注目度も高い阪神が行かないわけにはいかなかったのです。担当スカウトとしても、まずは足を運ばないと落ち着かない。1年のスタートとして、始動日を大事にしていました」 2014年、そのルーティンがポッカリと空いた。昨年末限りで阪神を退団。年末から年明けにかけ、日程確認などでバタバタしていた1年前とは一転、ゆっくりとした正月を過ごしたのもいつ以来だろうか・・・
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