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ここからはマイナー契約からメジャー昇格を目指す日本人プレーヤーを紹介する。彼らもあくまでも世界一が目標。もしかするとメジャー昇格後、世界一まで登り詰める選手が出てくるかもしれない。

※紹介する選手はNPB球団から直接契約した選手のみ

文=編集部、写真=川口洋邦


ナカジ、2年目のデビューへ




 アスレチックスの中島が2年契約の2年目を迎える。昨年はマイナー暮らしに明け暮れて拍子抜けのシーズンになってしまったが、3Aでじっくり力を蓄えた。今シーズンは春季キャンプからバッティングでアピールし、1年遅れのメジャーで大暴れしたい。

 通算打率3割超、ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞3度と日本球界を代表する大物だった。メジャー・リーグで1試合も出場できないのは予想外だったが、本職のショートのほかにセカンド、サードにも挑戦した。

「正直、フラストレーションはありましたよ。でも、やったことは無駄にはならない。全部、自分のためになる」と前向きだ。

 西武時代も、ドラフト5位入団した当初は野球評論家たちから目も向けられなかった。しかし、バットを振り込み、ノックを浴びる毎日が、後に常勝レオ軍団で不動のレギュラーへとつながった。

 昨シーズンの開幕直前に負った左太もも裏の故障もすっかり癒え、今は「アメリカの生活や野球にも慣れた」と準備万端だ。

 ただ、アスレチックスは内野の陣容が充実している。ショートはローリー、サードはドナルドソンが定着。セカンドには昨季をケガで棒に振ったサイズモアが復帰する。バックアップ要員にも、全ポジションOKのカヤスポが控え、昨季のレギュラーだったソガードが守備固めに回りそう。

 一昨年の開幕セカンドだったドラフト1位入団のウィークスをトレードで放出したほどで、ビリー・ビーンGMも「インフィールダーズは連係が良く、この顔ぶれを変える必要性は感じない」と満足げだ。

 ナカジは他球団のスカウトから「守備範囲が狭い」「ショートにしては肩がどうか」と守備の評価がいまひとつ。ビーンGMの発言も含めて、ライバルたちを追い抜くにはバッティングで上回るのが近道だ。

 昨季途中に、メジャー出場の前提となる40人枠ロースターから外れたナカジ。現在はマイナー・リーガーの身分で、アリゾナ州フェニックスでのキャンプもマイナーで始まる。2月中に始まる練習試合で、打率、本塁打、OPS(出塁率プラス長打率)で周囲を圧倒したい。

 スイッチヒッターの多いチーム編成と、相手投手によって打線を組み替えたり打者を代えたりするメルビン監督の用兵とを考えると、ナカジは対左投手で4割前後の打率を残すなど数字でアピールし、右の代打としてメジャー枠を狙うのが現実的だ。まずはメジャー昇格、そして念願のメジャーデビューへ。打って、打って、打ちまくって打開したい。

メジャー挑戦4年目の経験生かす




 昨年6月にレンジャーズのマイナーからヤンキースのマイナーへ移籍していた建山。1月に再契約を結んだ。キャンプでは招待選手としてスプリングトレーニングに参加する。だが、ここから振り分けられていくわけだが、開幕メジャー入りに向けて結果を残していきたい。昨年マイナーで44試合に登板し2勝3敗2セーブ、防御率2.83の好成績を残せた。メジャー挑戦4年目で、その経験を生かしていきたいところだ。

スーパー・サブで飛躍だ




 昨季は正遊撃手・レイエスのケガによりマイナーから昇格し、地元の人気者となった川崎。シーズン終了後FAとなり移籍先を探したが、あらためてブルージェイズと契約。キャンプで招待選手として参加し開幕メジャー入りを目指す。ただチームの人気者で誰もがそのプレーを楽しみにしているだけに、ケガさえなければシーズン中のメジャー昇格の可能性はある。また、ブルージェイズは大家友和投手ともマイナー契約を結んだ。

昨季後半の投球ができるかどうか




 昨年シーズン途中にインディアンスマイナーを契約解除された後、メッツとマイナー契約し9月にメジャー昇格。7試合に登板し最後3試合で3連勝とトミー・ジョン手術からの完全復活の兆しを見せた。シーズン終了後にFAとなって移籍先を探している中でメッツとの再契約が1月24日に決まった。ベテラン投手として先発ローテの5番手ぐらいを担える実力を見せているだけに、開幕メジャー入りが期待される。

4試合で結果を出す




 昨年の契約更改で自ら自由契約を希望しロッテを退団。レッドソックスとマイナー契約を結んだ渡辺。1月6日から沖縄・石垣島で自主トレを行い、11日にはブルペン入りするなど順調に調整を重ねている。3月のマイナーキャンプからの合流となるが、メジャーのオープン戦4試合に登板できる契約を結んでおり、貴重なチャンスを逃すつもりはない。「1試合1試合がテスト。日本に戻らない覚悟で挑戦します」と野球人生を懸けて臨むつもりだ。

ヒジの不安解消でメジャーなるか!?




 トミー・ジョン手術から復活を目指す和田は、オリオールズを退団し、カブスとマイナー契約を結んだ。昨年はリハビリも終わり、3Aで先発ローテを守り、19試合に先発して5勝6敗、防御率4.03の成績を残した。9月に入りエクスパンションでメジャー昇格を待ったが、上がることなくシーズンを終了。しかしローテを守れたことで先発として復活できる見通しが立った。スプリングトレーニングで、結果を残し続け開幕メジャー入りを狙っていく。

ダルの後ろを守れるか!?




 昨年メジャー挑戦のためジャイアンツとマイナー契約を結んだ田中。マイナーで二塁失格の烙印を押され、外野までこなすユーティリティープレーヤーとして7月にメジャー昇格を果たす。このときも左翼手として出場し、メジャーの雰囲気を味わった。結局メジャーでは15試合で打率.267、2打点。3Aでは107試合に出場し打率.329、1本塁打、32打点。シーズン終了後FAとなりレンジャーズとマイナー契約。今年も下からメジャー昇格を目指すが、3Aで実績を残しており、同じ成績を残せれば昇格の可能性は高い。
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