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ともに高校時代は甲子園に出場して世間の注目を集め、「佑ちゃん」、「大ちゃん」と呼ばれ大フィーバーを巻き起こした。そんな新旧の早実高出身スターによるビッグ対談が沖縄・名護のキャンプ地で実現した。斎藤佑樹は2012年に肩を痛めた影響で、13年は一軍登板1試合にとどまる。今季は肩も完治してオフの期間から順調にコンディションを上げてきた。一方、荒木氏は現役時代にヒジを痛めて手術を受けるなどし、3年間一軍で投げられなかった。そんな苦しい経験を踏まえ、再スタートを切る後輩にアドバイスを送る。

取材・構成=小林光男、池田晋 写真=高原由佳





荒木 今日もブルペンに入っていたけど、調子はどう?

斎藤 すごく、いいです。肩はもう、絶好調です。

荒木 投げ方を修正したと思うけど、どういうところに気を付けている。

斎藤 右足一本で立ったときですね。右足できちんと立てるように。あとは、そのまま頭が先に行かないように、真っすぐ体重移動ができるように意識しています。

荒木 バランスよく重心移動ができればいいね。前の投げ方で少し気になったのは、前に出ていくときに、少し浮くような、左肩が開いて、腕が離れて遅れていた。今はそれも意識している。

斎藤 意識してますね。

荒木 だいぶ右腕が内側に入っている。立ったときに後ろに下がると、腕が外回りになってしまう。それが見た限りはなくなっていた。投げ始めも足を開いて、形を作っている。

斎藤 そこは意識しています。



「投げ始めたときより調子を戻すのが辛かった」

荒木 リハビリ期間中の投げられないつらさと、本来のスピードが戻らないつらさはどちらが大きかった?

斎藤 僕は最初に肩を痛めて投げられないときよりも、投げられてから、いまの調子に戻るまでがつらかったです。もどかしさがありました。痛めたときは、治ったら普通に活躍できるんだろうなと思っていました。でも、全然そうではなくて、キャッチャーに投げられるようになってから、今の状態になるまで長かったですね。

荒木 1月に“早大トリオ”で自主トレしたのは、どんなきっかけ? 

斎藤 福井優也(=広島)が声を掛けてくれて、3人で一緒にやってみようかとなりました。

荒木 原点に返るみたいな。どうだった?

斎藤 いい刺激はもらいました。3人ともまだ一線級で活躍できていないので、もう一度スタートを切るために、という感じです。

荒木 お互いに刺激し合えるだろうし、何でも言い合えるだろうし、やった意義は大きいと思う。

斎藤 そうですね。

荒木 いいスタートを切れば、今シーズンの新たな目標も出てくる。

斎藤 まだ1シーズン通して投げたことがないんです。肩の状態もあるけど、1シーズンを通して投げることを目標にしたいです。

荒木 ポジションは。

斎藤 先発です。

荒木 先発でやるのが一番だと思う。チーム内には年齢の近い、勢いのある投手がいる。彼らを意識する?

斎藤 意識しないことはないです。でも、自分がきちんとやれば周りは関係ないかなと思っています。

荒木 栗山(英樹)監督から何か言われていることは?

斎藤 えっと……、何も言われてないです。

荒木 突き放されているの?(笑)

斎藤 たぶんそうだと思います(笑)。

荒木 先発ローテの中に入れば、監督は助かると思う。そうしないとチームの浮上は見えてこない。

斎藤 本当にそうですよね。先発できちんと計算できるピッチャーがウチには少ない。計算し切れていないと思う。その1人になれたらいいと思います。

荒木 是非そういう位置に入ってほしいと思う。ケガで苦しんだ時期は、いままでの中で一番大きい苦しみだった。

斎藤 苦しみの大きさは去年が一番というふうには決められないです。野球を始めてから、いろんなことがあったので。それを経験して成長して去年があった。もし、野球を始めたときにあの苦しみがあったら、一番だったかもしれない。僕もいろいろ学んできました。

▲キャンプ初日は快晴に恵まれ、守備練習などに汗を流した



荒木 リハビリをしてきた中で、一番学んだことは何かな。

斎藤 フォームが良くないと、肩を壊すということですね。

荒木 今はそこに重点を置いている?

斎藤 そうですね。あとは、肩のトレーニングは毎日しています。

荒木 具体的にどんなトレーニングをしているの。

斎藤 インナーマッスルです。

荒木 これまでそこが足りなかった。

斎藤 ケガをする前は、少し安易に考えてました。ピッチングが終わった日にやる程度だったので、週に3、4回でした。今は毎日欠かさずやっています。

荒木 インナーマッスルを鍛えたことで、球が良くなるのと肩の耐久性が上がるのは、どちらが大きいと感じているかな。

斎藤 耐久性が上がるのはもちろんです。肩が強くならないと、腕を強く振れないですから、両方の効果があると思います。

▲ブルペンに入ると、多くの報道陣、解説者の目線にさらされるが、気負うことなく投げる

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