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プロ入り2年で球界を代表する二塁手へと成長を遂げた広島菊池涼介。驚異の身体能力と守備範囲で、昨年自身初のゴールデングラブ賞を獲得した。だがその二塁守備はわずか2年間ながら、確かに積み重ねた経験から導き出されたものでもある。自身と、菊池を指導する石井琢朗コーチ、チームメート、スカウトの証言を元に、背番号33の「進化」を振り返っていこう
文=坂上俊次(中国放送アナウンサー)
写真=BBM




周囲も驚く守備範囲

 この男の周りにヒットゾーンはあるのだろうか。一、二塁間の打球は素早い動きでアウトにし、二遊間への打球を逆シングルで捕球しても送球に不安はない。前に突っ込む、後方へのプレーも実に軽快。サーカスのような守備に、カープナインは勇気をもらい、相手チームは落胆する。菊池涼介のプレーは一つアウト以上の威力を持ち、スタジアムの空気を一変させる力がある。

 2013年、ゴールデングラブ賞を受賞し、二塁手として史上最高の528補殺という金字塔を打ち立てた。だが、この男の守備をタイトルや数字だけで語るのはもったいない。まずは、チームメートの言葉に耳を傾けてみよう。

「12球団トップクラスの内野手だと思います。プレーはすごいし、投げていて心強いです」(篠田純平)

「彼は素晴らしいプレーヤーだし、フィールドでも明るいので大好きだよ」(ブライアン・バリントン)

 その言葉には菊池への信頼感の高さがにじむ。さらに、主に右翼を守る松山竜平にはこんな記憶がある。「一、二塁間横のゴロがライト前に抜けると思ったとき、菊池がパッと視界に入ってきて、アウトにしたんです」。松山は、すでに打球処理の準備に入っていた。それだけに「あんなこと初めて。すごい。いや、エグかった」と目を丸くして振り返った。

 菊池の身体能力の高さはアマチュア時代から突出していた・・・

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