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2014広島カープ大特集 第2弾
赤ヘル打線をけん引する新背番号9 丸佳浩
赤ヘル打線をけん引する新背番号9 丸佳浩

 

「自覚」と「決意」プロ7年目を迎える丸佳浩は、充実の日々を過ごしている。5月1日現在、14打点、5本塁打、6盗塁。中堅、右翼守備でも、敵のチャンスの芽を摘む好守を随所に披露し、攻守走3拍子そろったプレーヤーは、カープに欠かせない存在だ。今季から背番号9を背負う25歳は、「自覚」と「決意」を胸に、チームとともに新たなステージへ登ろうとしている。

写真=BBM

自覚と決意

 すっかり新しい背番号が板に付いてきた。今季から、かつて緒方孝市(現一軍野手総合コーチ・ベンチ担当)が背負った背番号9を受け継いだ丸佳浩。

「偉大な背番号をいただいたと思います。それに恥じないようなプレーを見せながら、自分の“色”を出していきたいですね」

「カープの背番号9」に恥じないプレー――。それがグラウンドをダイナミックに駆け回る、攻守走3拍子そろったプレーだということは十分に自覚している。3月28日の開幕戦・中日戦(ナゴヤドーム)に「一番・中堅」で先発し、3打数1安打2四球でチャンスメーク。守備でも6回に中日・谷繁元信が放った中前打を捕球すると、自慢の強肩で二走・平田良介を本塁で刺してみせた。

 開幕から打率こそ2割台前半と伸び悩んでいたが、4月11日の中日戦(マツダ広島)から打順を三番に移したことで調子が上がってきた。4月18、19日のDeNA戦(横浜)では2試合連続本塁打を放つなど、5月1日現在で打率.274と上昇。5本塁打、14打点の数字を残している。



 昨年、自身初となるタイトルを獲得した「守」と「走」の両面でも、輝きを放つ。盗塁数は菊池涼介に次ぐチーム2位の6、守備では試合開始時は中堅、試合終盤になると右翼へ守備位置を移し、50メートル走6.1秒の俊足をいかんなく発揮。背番号9の後継者として、堂々たるプレーをしていると言っていいだろう。



チームとともに成長

 4月22日のヤクルト戦(神宮)では、丸の“色”とも言える勝負強さを発揮した。3対4と1点ビハインドで迎えた6回二死一、二塁。野村謙二郎監督が微妙な判定への猛抗議で退場処分(遅延行為)となった直後、ヤクルト・真田裕貴の外角変化球を見逃さず、右中間を深々と破る逆転の2点適時三塁打を放った。

「(試合の中の)大事な局面で監督が退場覚悟で(抗議に)行ってくれた。何とかしようという気持ちを結果として出せたので良かった。とにかく強い気持ちで振り抜きました」

 この回、さらに1点を追加し、試合は7対4で勝利。指揮官の退場に奮起した丸の一打でチームは逆転勝利を収め、勢いに乗ったチームは翌日(6対3)、翌々日(9対2)と今季初となる同一カード3連勝をつかみ取った。

 首位攻防戦となった4月25日の巨人戦(マツダ広島)でも、3回に放った同点2ランを含む猛打賞と2盗塁。7回には巨人・橋本到が放った右中間への飛球をフェンスに激突しながらキャッチするプレーで、大観衆を魅了した。

 野村監督就任1年目の10年に一軍デビューを果たし、チームとともに成長を続けてきた25歳は、確かな手応えを感じている。「チームに力がついてきた。その中で自分に何ができるか。チームを引っ張っていくことは難しいけど、結果的に成績を残して、自分が引っ張っていければいい」

 23年ぶりのリーグ優勝へ向け、首位を走る赤ヘル軍団。「自覚」と「決意」みなぎる25歳の若武者が、攻守走でチームを力強くけん引する。

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