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1975年、球団初の優勝を経験し、その後、山本浩二とともに主力打者として黄金時代を築き上げた衣笠祥雄氏。覇権をつかむために必要なことのすべてを知り尽くしている衣笠氏が今季好調な要因を分析。さらに23年ぶりの歓喜を得るためになさねばならないこととは――。
取材・構成=小林光男 写真=BBM



リリーフ陣の充実が相手の焦りを呼ぶ

 広島らしい野球ができている――。現在、首位を走るチームですが、その要因をひと言で表せばこのような言葉になるでしょう。「広島らしい野球」とは何か? それは投手を中心とした守りの野球、それに尽きます。セ・リーグ1位のチーム防御率3.14が「伝統の野球」を貫いていることを表していますが、特にリリーフ陣の充実が投手陣に安定感をもたらしているのは間違いありません。今年、サヨナラ勝ちが2試合ありますが、劇的勝利が生まれるのもリリーフ陣がいい状態を保っているおかげでしょう。

 クローザーのミコライオ永川勝浩一岡竜司中田廉。勝ちパターンで投入できる中継ぎが4枚いることは非常に心強い。一人ひとりを無理使いすることがなくなり、途中でつぶれてしまう可能性が低くなりますから。このリリーフ4人衆の中でもやはり若い中田、一岡の台頭が大きい。今年の中田は体が絞れ、ボールのキレが増しました。それにリリーフという役割を明確に与えられ、そこに集中できていることが好結果につながっている。一岡も一軍の舞台で投げられる喜びが全身からあふれていますし、怖いものなしに直球を投げ込んでいる姿勢が素晴らしい。相手打者からすると本当にやっかいな存在でしょう。

▲今季、巨人へFA移籍した大竹の人的補償で広島に加入した一岡。中継ぎとして十分な戦力となっている



 リリーフ陣の充実が先発陣に安心感を与え、相手にとっては前半でリードを許したら逃げ切られる、という焦りを誘発しているのは確かなこと。不安点を挙げるとしたら、リリーフ左腕の不在でしょうか。ぜいたくを言えばいた方がいいでしょうが、いま投げているリリーフ陣は左打者を苦にしていませんし、大問題ではありません。さらに1年間、投げ切ったことのない中田、一岡のスタミナも心配かもしれませんが、そのときを見据えて・・・

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