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期待は大きかったが、それ以上の活躍だと言えるだろう。ここまでバリントンに次ぐチーム2位の5勝を挙げ、防御率は3.09。1試合平均で6.92イニングを投げ、先発の役目を十分に果たしている。活躍を可能にするカギは、ルーキーをもり立てるチームの雰囲気とともに、自身のメンタルにもあった。※成績、記録は5月25日現在。
取材・構成=菊池仁志、新ヶ江周二郎 写真=松村真行、BBM

先輩に学ぶ勝つ投手の姿勢

──大瀬良投手はこれまで、チーム2位の5勝。存分に力を発揮していますね。

大瀬良 チームの雰囲気がすごく明るくて、試合で負けている展開になっても、ベンチにいる全員がそのままズルズル行ってしまうような感じはなくて、「これから行くぞ」という雰囲気の中で野球をやれているのがいいですね。ネガティブな気持ちになることがありませんし、みんなが一丸となって必死にプレーしているので、その流れに乗れている部分があります。今の順位にいられるのも、そういった部分が影響していると思いますし、僕個人が踏ん張れている要因もそこにあると感じます。

▲力強い直球を中心に、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる投球で、存分に力を発揮している



──チームの一員となって、広島はどのようなチームだと感じていますか。

大瀬良 上下関係の部分で、最低限のものはありますけど、それほど細々とはしていなくて、みんなが親しく接しています。アットホーム感がすごくありますね。僕も新人ですが、ムリに気を使うこともありませんし。僕たち新人がそう思うくらいなので、すごく野球がやりやすいですよ。自分の野球、プレーに集中しやすいチームの雰囲気だと思います。

──入団前に想像していたものと比べて、違った部分はありましたか。

大瀬良 そういうチームなのかなと想像していたんですけど、思っていた以上にアットホームな雰囲気でした(笑)。すごく助けられています。

──投手陣を見ると、リーダー格に前田健太投手がいます。

大瀬良 そうですね。マエケンさんの周りにはいつもたくさんの人がいます。気付いたらマエケンさんを囲んで話をしていたりとか。投手陣にとってマエケンさんの存在って、すごく大きいものがありますね。

──プレーでも参考になるものがたくさんあるのではないでしょうか。

大瀬良 マエケンさんが投げた試合のコメントとかを見ると、「今日は調子が良くなかった」というようなことをおっしゃっていることがあるんですけど、結果を見ると8回2失点だったり、1失点だったり、すごくいいピッチングをしています。その最少失点に抑えるというところだと思うんですよね。本当に良いピッチャー、勝てるピッチャーというのは、そうやって調子が悪いときでも、悪いなりのピッチングができる、というところを、すごく間近で見せていただいています。やっぱりすごいですし、見習っていかないといけない部分です。

──前田投手が試合を作るピッチングができるのは、どうしてだと分析していますか。

大瀬良 まず、練習に取り組む姿勢を見ていても、一つひとつ丁寧にメニューをこなしますし、トレーニングに関しても一人で黙々と取り組んでいる姿を見ています。キャッチボールもそうですけど、1球1球を大切にして、いろいろなチェックポイントを持ちながらやっていますし、そうした積み重ねがピッチングに出ていると思いますね。

──マウンドに上がる以前の取り組みから、試合につなげていく部分があるということですね。そういう姿を見て、大瀬良選手自身の意識も変わってきていますか。

大瀬良 そうですね。大学(九州共立大)時代も自分の中では一つひとつ取り組んでいるつもりでいたんですけど、キャンプのときからマエケンさんをはじめ、さらに年上の横山(竜士)さんや永川(勝浩)さんの練習に取り組む姿勢を見て、意識の違いをものすごく感じました。自分の中ではやっている気でいましたが、全然足りていなかったと感じられたので、そこから意識は変わっていると思いますね。

──投球を見ると、非常に内容の良い登板が続いていますが、5月8日のヤクルト戦(神宮)では、5回1/3で5失点。5回まではほぼ完ぺきな投球でしたが、6回に突如乱れました。

大瀬良 調子が悪かったことは確かですが、5回までは低めに集めたり、コースに投げられていたんで、抑えられていたんです。ただ6回、打たれたボールは全部高いんですよね。そういうボールが増えると、打たれる確率が上がるのは当然です。

──低めへの制球が基本。

大瀬良 長打の可能性も低いですし、そうすれば最少失点でしのげます。僕の悪い部分が出た試合ですが、良いときと悪いときの両方を感じられたので、この先に生かしていけると考えています。

変化を知らせるチームメートの声



──まだ8試合に投げたのみですが、ベストピッチを挙げるとどの試合になりますか。

大瀬良 初登板(4月2日、対ヤクルト・マツダ広島)は良かったと思います。真っすぐが走っていたのが一つ。僕は・・・

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