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FA宣言した小谷野栄一の獲得に始まり、3年ぶり日本球界復帰の中島裕之バリントン、ブランコと立て続けに大物選手の獲得を発表したオリックス。2014年オフ、大型補強大成功の裏にはどのような戦略があったのだろうか。
文=喜瀬雅則(産経新聞) 写真=BBM

“泣き所”を的確に補い周囲を驚かせた大型補強


 このオフ、話題のビッグネームを次々に獲得し、一躍ストーブリーグでの“主役”となったのがオリックスだろう。阪神西武との争奪戦を制し、元西武で、ここ2年はアメリカのマイナー・リーグでプレーしていた中島裕之、日本ハムからFA宣言した小谷野栄一と、実績十分の内野手2人を立て続けに獲得。外国人でも、日本での6年で通算169本塁打、505打点を誇る前DeNAのブランコ、日本4年で40勝の右腕、前広島・バリントンと契約合意に至った。

 しかも、小谷野が12月4日に森脇浩司監督が同席のもと、入団会見に臨むと、翌5日には中島との契約合意が発表され、またも森脇監督同席で入団会見。同6日にはブランコとバリントンの入団決定が球団から発表されるなど、これまでのオリックスでは考えにくいほどの手際の良さだった。しかも、その補強ポイントが、今季の“泣き所”となった部分を、実に的確に補っているのだ。

▲3年ぶりの日本球界復帰となった中島。地元・関西の声援を受けて躍動したい



 今季、ソフトバンクと最後まで優勝争いを展開しながら、2厘差でのV逸。その選手層の薄さが、最後の最後に響いた。代打でのチーム打率はリーグ5位の.216。ベテランの谷佳知高橋信二の調子が上がらなかったこともあり、控えの右打者に決め手を欠いた。さらに一番打者を務めていた平野恵一が、9月24日の西武戦(京セラドーム)で左手に死球を受け、シーズンの残り9試合を欠場。二塁には原拓也が起用されたが、すると左の代打も手薄になり、坂口智隆を代打で使ってしまうと、今度は終盤の外野の守備固めや代走要員にコマを欠く始末……。そうした悪循環に、年間を通して悩まされ続けてきた。

 小谷野、中島に着目したのは、2人とも旧球団でクリーンアップを務め、打撃タイトルも獲得した右打者であるのはもちろんだが、守備でも小谷野が一塁と三塁、中島も本職は遊撃ながら、三塁に加え、今季は2Aで二塁を守るなど、2人とも内野の複数ポジションが可能な点だ。オリックスも今季、外野手登録のT-岡田が一塁手として初のゴールデングラブ賞を獲得、平野恵は二塁と外野、安達も二塁と遊撃、駿太と糸井嘉男は中堅と右翼、坂口も中堅と左翼と、主力陣は例外なく複数ポジションを守っている。この“豊富なバリエーション”が、選手層に不安のあるオリックスでは不可欠で、森脇監督が小谷野と中島を「ウチにフィットする選手」と称したのも、そうした特色を備えているからだ。

▲勝負強さが持ち味の小谷野が加わったことで打線に厚みが増すことは間違いない



 また、今季32本塁打を放ったペーニャは、優勝争いが佳境を迎えた終盤戦に精神面の弱さを露呈。これに代わる新主砲として、ブランコの獲得にいち早く動いた。これで来季は・・・

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