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今季は4試合に先発し2勝0敗、防御率0.56と竜投で存在感を増す大野雄大が、好調の要因や勝利への意識の変化、昨年とのチームの違いを語ってくれた。
※記録は4月27日現在
取材・構成=吉見淳司 写真=桜井ひとし

好調の要因


ここまで4試合に先発し、すべてクオリティー・スタート(6回以上、自責点3以下)。チームは全試合で勝利している



──4月21日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)では9回二死まで1安打投球。完封目前でしたが、9回に2点を失い3対2の完投勝利となりました。

大野 それだけ完封は難しいということですよね。調子はそれほど良くはなかったんですけど、粘り強く、打者を惑わせながら投げられました。

──5回に先制点をもらった後、6、7回と走者を出しながら二塁にも進ませなかったのが大きかった。

大野 点を取ってもらった後の回はすごく意識しています。昨年は失点してしまい、ダラダラと行ってしまうことが多かった。それは今年との違いだと思いますね。信頼される投手になりたいとずっと思っているので、そこで崩れてしまうと大事なところは任せてもらえないですから。

──今季、好調な要因は。

大野 オープン戦から続けていることなのですが、打者をしっかり確認しながら、試合の状況なども考えて1球1球ベストのボールを選択できているのが大きいと思います。これまでは試合に入っても、勝ちたいとか抑えたいという気持ちがまず来ていて、それが力みになってしまって打たれることが多かったんです。今年はしっかり状況判断できていて、どうすれば抑えられるか、どうすれば凡打に打ち取れるかを冷静に考えられています。

──捕手のサインに首を振ることも増えています。「自分の投げたいボールを投げること」を意識しているそうですが。

大野 一番大きかったきっかけは、去年の8月22日の巨人戦(東京ドーム)。谷繁(元信)監督と組んだのですが、全然思ったような投球ができず、5回にマウンドに上がる際に森(繁和)ヘッドから怒り気味に「お前の好きな球を投げていい。自分で組み立てて勝手に投げろ」と言われたんです。監督にもそれが伝わっていて、ずっと真っすぐのサインしか出していなかった。

「いつまで真っすぐのサインを出すんだろう」と思っていたら、気付いたらヒット、ヒット、バントで一死二、三塁になっていました。本当にずっと真っすぐだったんですよ。「何なんだこれ」って思いましたね。「観客はいっぱいいるし、プロの世界なのにどうなっているんだって」って(苦笑)。そのときは3対3の同点。「自分で組み立てろ」というのなら、持ち味である真っすぐで押し切ろうと思ったんですけど、もし点を取られたら、この先、プロの世界でやっていけないな、と。

──自分の一番自信のある球が通用しないわけですからね。

大野 そこからは首を振って変化球を投げたり、コースも自分で選択したり。最後は満塁でスリーボールまでいったんですけど、真っすぐで村田(修一)さんをライトフライに抑えて無失点で切り抜けられました。そこで組み立ての大事さや、自分で意思を持つボールの大切さを学び、その試合から、自分でしっかり組み立てられるようになりました。

──ただサインどおりに投げているボールと、自分で選択したボールは違う。

大野 まったく変わってきますね。逆球が打たれるのもそれが一つの要因だと思います。

──しかし、投げる責任も重くなりますよね。どうすれば抑えられるか、どうすれば凡打に打ち取れるかを冷静に考えられています。

大野 なぜそのボールを選んだのか理由も問われるでしょうし、プレッシャーはありますが、それを学ばせてくれたあの試合はすごく大きかった。あそこでついた自信がいまも継続しています。

──昨年の8月といえば、チームは月間20敗を喫した苦しい時期でした。

大野 自分自身もまったく勝てておらず、チームがそうなったのも自分の責任だと思っていました。でも、そこから自分は変わることができたので、「2015年は必ずやってやろう」と誓ったんです・・・

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