週刊ベースボールONLINE


OB・駒田徳広が語るDeNA好調の理由

 

17年前の優勝時にはベテランとしてマシンガン打線をけん引した野球評論家の駒田徳広氏。実際に当時の横浜が強くなっていく様子を体感した一人だ。現在はDeNAを取材しながら、チームを見守っているが、今回、なぜここまで強くなったのか、そして、98年の優勝時と何が似ていて、何が違うのか、さらに優勝の可能性も語ってもらった。
取材・構成=椎屋博幸、滝川和臣、写真=BBM



 もともと首位を争えるだけの力が備わっているチームだと思っていましたが、キャンプを見た段階では、ここまで頑張るとは思っていませんでした。

 しかし、開幕してみると巨人が、若手がそこまで育っていないことと、ベテラン陣の調子が上がらないことで、あまり怖くない存在になっています。阪神広島ヤクルトは戦力がそろいながらなぜか勝てない。中日は転換期に来ている。そういう要因を含め、DeNAが一番いい状態になり勝っているという、良いシーズンの流れになっています。リーグの状況を考えると優勝するには最高の状況にいると思いますね。

先発も中継ぎも若手が刺激しあう環境へ


 今季は1点差で勝つことも多いですね。それは勝っているからこそ強くなってきている部分もある。一方で、勢いで勝っているのも事実かな、と思います。抑えを任されている山崎(康晃)は、ここまでは大きな失敗がない。これは明らかに勢いです。でも本当のプロになるには本当の失敗をしないと分からないことがある。その部分を知ることで、どう転ぶかという不安が少しあります。

 たとえるなら、今は、20トントラックの荷台に何も乗せていない状況で走っている状況。当然、夏場に向けて負荷がかかってきます。今後20トントラックに毎試合、10キロくらいの重荷がポン、ポンと乗っかっていくイメージですから、その重圧をどうはねのけるかです。セットアッパー的な存在の田中健二朗などが良くなりましたし、エレラも力があります。この中継ぎ、抑えが非常にいい状態。その中で長いシーズンを考えると抑えの山崎に少し不安が残りますね。三上(朋也)などを夏場にうまく起用できるといいかなと思います。

 今季は先発陣もそろってきました。みんなが良い状態です。その中で久保(康友)、三浦(大輔)も良い投球を見せていますが、彼らが勝った場合、チームにプラスになっても若手にはプラスにならないんです。というのも若手の中で誰も2人のような投球ができないからなんです。

 若手の場合は、例えば1998年の日本一のときにチームに一番刺激を与えた選手が川村(丈夫=現投手コーチ)でした。彼がプロ1年目の97年に10勝を挙げ、98年開幕投手に抜てきされました。それにより同世代の野村(弘樹)や斎藤隆(楽天)に刺激を与えました。今年も先発の井納(翔一)や山口(俊)が活躍することで三嶋(一輝)や須田(幸太)の投球内容が良くなっているんです。そういう相乗効果が見られるようになっている。それはもしかしたら抑えの山崎が大活躍していることも関係があるかもしれません。

先発陣も好調が続いているが、山口(写真)や井納などの同世代が刺激し合って、チームに相乗効果を与えている



身体能力だけのプレーから、考えてプレーする選手が増加


 打線は、セ・リーグの中で選手層は厚いので心配していません。層が厚いと言っても全員がトップレベルでと言うことではないですよ。トップレベルよりも少し下のレベルの打者がたくさんいるので、たとえケガなどで1人抜けたとしてもそれを補てんできる選手たちがいる。そうなると打線が急激に下降していくことがないんです。

 それと今年は・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング