週刊ベースボールONLINE

特集・日の丸を背負った男たち

甲子園不出場組が見せた意地 2人の“ショウキ”

 

この夏、聖地でプレーすることは叶わなかったが、その悔しさを侍ジャパンのユニフォームを着て躍動することで晴らした。勝俣翔貴津田翔希。2人の“ショウキ”がまばゆいばかりの輝きを放った。
文=鶴田成秀

木製バットも苦にせず「コツをつかんできた」


「負けたくない気持ちはあります」。今夏の甲子園に不出場もU-18ワールドカップ日本代表メンバーに名を連ねたのは4名。その中の勝俣翔貴、津田翔希が甲子園組への対抗心を語った。だが、それは内に秘める思い。「良い意味で競争して、世界一になれたら」と異口同音に話した2人の“ショウキ”。大会を振り返ると、彼ら2人が日本をけん引したと言っても過言ではない。

 高校通算25ホーマー。エースで三番として、今春のセンバツ出場を果たした勝俣。しかし、今夏の西東京大会決勝ではスーパー1年生擁する早実に5点差を逆転されて、甲子園出場は逃した。敗退した7月26日以降、「8月上旬まで、あまり練習は……」と、苦笑いしながら打ち明けるも、代表メンバー入りの可能性を伝え聞いた勝俣は、8月13日から練習を再開。晴れて代表入りを果たすと、投手・野手との二刀流も秘める逸材は「野手が好き」とバット一本にかけて挑んだ。

かつまた・しょうき●1997年7月20日生まれ。神奈川県出身。右投左打。小学1年から箱根フリッパーズで投手兼遊撃手として野球を始める。箱根中では「小田原足柄シニア」に所属し、東海大菅生では1年夏からレギュラー。3年春のセンバツに出場した。



 迎えた今大会。全試合でスタメン出場し、清宮幸太郎の負傷欠場時は四番に座るなど、非凡な打撃センスを見せつけた。「うまく言えないですけど、コツをつかんできた」。手首を柔らかく使い、ヘッドをしならせてスイング。木製バットも苦にせず、鋭い打球を連発した。

 開幕戦の一次ラウンドのブラジル戦では「自分の前の打者が、みんなスライダーに(タイミングが)あっていなくて、自分にもスライダーで攻めてくるだろう」と、狙い打ちしての三塁打。そして、最大の衝撃は一次ラウンド第4戦のチェコ戦だった。1打席目の初球をとらえると、打球は両翼100メートル、フェンスの高さ約3メートルの広い舞洲ベースボールスタジアムの右中間席へ。高校26発目の3ランは木製バットで放った。

「練習でも入る気配がなかったので驚きました」

 好結果の一因は、バットさばきにもある。際どいボールはカット。甘い球を誘っての好球必打が好結果を招いた。一方、ボール球にも手を出すこともあり「打ちに行き過ぎてしまうこともある。そこは課題というか反省している点です」。

 世界一をかけた決勝にも五番・右翼で出場。2安打を放ちバットは最後まで止まらなかった。首位打者(.545)と打点王(12打点)を獲得したバットマンは、大会終了後にプロ志望届を提出する。スカウトからも打者としての評価を得ており、本人も野手として勝負をかける決意を固めた。

準備でつかんだスタメンの座


 今春のセンバツ4強、秋春連続で関東大会を制した浦和学院の遊撃手・津田・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング