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ソフトボール出身・大嶋匠が語る胸中 プロ4年目「野球で全部やり切る」

 

ドラフト7位で2012年に日本ハムに入団。早大出身の肩書きだが、硬式野球の経験はなく、ソフトボール部出身。入団当初は大きな話題になるとともに、懐疑的な目を向ける者も多かった。プロ野球で4年目を終えようとしている男は現在何を考え、どう野球と向き合っているのか。
取材・構成=池田晋 写真=BBM



日本ハムの二軍本拠地球場と選手寮のある鎌ケ谷ファイターズタウン。9月に入ると、二軍の選手はイースタン・リーグ公式戦の日程が残り少なくなり、この施設で汗を流すことが多い。台風が直撃し、記録的豪雨となった9月のある日。雨天練習場では、打撃練習、捕手の守備練習に取り組む大嶋匠の姿があった――。

 ソフトボールを10年間してきたので、野球に慣れるまでに2、3年はかかりました。投打でどちらも使う用具が違う点は大きかったです。

 一昨年に比べて、昨年は二塁打が増えた(4→13)ことはすごくいい点です。僕が単打を多く打っても、そこに魅力があるわけではない。自分は長打を打ってナンボの選手だと思います。ただ、昨季は3年間で最も本塁打が少なかった。一発で試合の流れを変えられるホームランを自分の持ち味にしたいです。

 現在打撃では、とにかく手を出すことを意識しています。自分は状態が悪いときは下半身が回ってしまい、手がついてこないんです。よく「腰の回転で打て」と言いますが、僕の場合は腰を回しちゃうと手が出せない。手だけ出すなら、まだ腰が残っているというのが僕の感覚なんですよ。一般的な理論に比べ、僕の言っていることは真逆かもしれません。でも、理想はバットにボールを当ててから腰を回すことです。

 昨季札幌ドームで1打席出場しました。やはり目指すべき場所は、一軍の舞台ですね。稲葉(篤紀)さんの引退試合でもありましたし、そういう場面で使っていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 初の一軍昇格でしたが、二軍で手応えなどなかったですよ。いきなり監督室に呼ばれたのでクビだと思ったら、「明日から一軍に行って」と言われたので「分かりました」と。せっかく呼んでいただいたので、3年間やってきたことをしっかり出せればいいと思ってました。

 今年は初めて春季キャンプで一軍スタートでしたが、大野(奨太)さん、市川(友也)さんがケガで出遅れたので自分の力で勝ち取ったのではない。でも、せっかく一番近くで見てもらえるので、しっかりアピールしたいという気持ちで臨みました。

 オフに自分で考えてトレーニングしましたが、まだキャンプでの練習の質や量に耐えられず、肉離れをしてしまった。もっと考えて取り組まなければならなかったです。ちょうど打撃の調子が上がってきたところだったので、すごいショックでした。

 自分は、キャッチャーができるという点が重要なポイントなので、大事にしています。一軍でいざ出場機会がくるなら代打が多いでしょう。二軍での試合も代打で出るときは一球、一球大事に取り組んでいます。

 僕は今年一軍でチャンスをもらった選手たちと比べて二軍でもチャンスが少ない。二軍でも代打で結果を残さないと使ってもらえない。逆にそれが一軍に向けてもいい練習になっています。

 先月、ファームで北海道遠征があり、北海道のファンの方はすごく温かい応援をしてくださいました。このような方の前でしっかりプレーして活躍したいと思います。でも、最初はソフトボール出身であることをヤジられることもありましたね。

 今課題にしているのは、打撃では一球で必ず仕留めることです。代打でもスタメンであっても同じ。仕留めるためにどういう準備をしたらいいか考えて取り組んでいます。

 ソフトボール界に戻ろうと思ったことは一度もないです。いやらしい話ですが、ソフトボールではお金を稼げないです。ソフトボールではなく、別の仕事を選ぶと思います。プロ野球という世界に入れたので、「ここまでやれればいい」というところまで全部やり切ります。まだまだ力が足らないので、これから頑張らないといけないです!

PROFILE
おおしま・たくみ●1990年2月14日生まれ。群馬県出身。180cm95kg。右投左打。ソフトボールの名門である新島学園高から早大ソフトボール部を経て、ドラフト7位で2012年日本ハム入団。今季二軍成績は59試合で34安打4本塁打17打点、打率.217(9月13日時点)。
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