昨年、DeNAを戦力外となった中村紀洋。引退を明言せずに、現役続行を誓ったが今年、それは果たされなかった。通算400本塁打を放った、希代のスラッガーの現在は――。 文=楊枝秀基(スポーツライター)、写真=M.Konakamura 並みの選手であるはずがない。それは音ですぐに理解できる。
「ブンッ、バシッ」
室内の練習施設に設置された防球ネットとスタンドティー。そこに硬球をセットすると鋭いスイングから、スピンの効いた打球が繰り出される。
さすがは「現役のプロ野球選手」。ノリこと、中村紀洋内野手に現在、在籍球団はなし。それでも「生涯現役。何事にも挑戦し続けることに変わりはない」とバットを振り続ける姿に、衰えを感じることはない。
たらればはないが、どこかのユニフォームを着ていたならば相手投手に手痛い一打を浴びせていたに違いない。だが、7月末のトレード期間を過ぎたいま、何を言っても今季のNPBでのプレーは不可能だ。
このあたりの心境はどうなのか。こんな質問に対する中村の答えは意外にも冷静なものだった。
「自分の現状を普通に見ることができています。自分自身がバタバタしても仕方がないことですからね。しかし、何が起こるか分からないのが世の中ですから。準備だけはしっかりやっておこうかなという感覚ですね」
中村はNPBへの復帰をあきらめてはいない・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン