文=新甫條利子、写真=湯浅芳昭文=大平明、写真=中島奈津子 監督にアピールしたいのは「負けん気の強さ」
「目標は、抑えとして一軍で投げることです」
記者会見場の外で待っていた仲間の前で、そう宣言した
田中豊樹が3度、宙に舞った。
指名の瞬間は、不意にやって来た。5巡目で
ヤクルト、
ソフトバンク、
巨人と3球団が指名を終えたところで、システム障害により、進行がしばし中断した。「(4巡目に指名する)
日本ハムに呼ばれるとは思っていなかった」と少し油断していたところに田中の名前が読み上げられた。
「日本ハムさんに指名していただいて、感謝しています。不安もありましたが、ホッとしました」
ドラフト会議が始まってから約2時間。ともにプロ志望届を提出したチームメートの
榮光貴から「おめでとう」と声をかけられた田中は、喜びを爆発させるのではなく、静かに記者会見場へと向かった。冷静で動じない姿。それはまさに、マウンドに立つ田中の姿勢、そのものだった。
日本文理大の守護神として、1年秋からリーグ戦に出場し、2年春には同校4年ぶりの大学選手権にも出場。その年は、日米大学選手権の日本代表メンバーにも選ばれ、2試合に中継ぎとして登板した。180センチ90キロ、最速152キロの右腕リリーバー。持ち味は、ピンチにも動じない強気の姿勢――。
会見場で記者に「
栗山英樹監督に何をアピールしたいか」と聞かれ、田中は「どんな相手でも戦っていける、負けん気の強さ」と答えた・・・
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