さまざまな記録が誕生した2015年シーズン。これまでに紹介し切れなかった出来事の中から、思わず人に話したくなってしまうマル秘レコードを紹介しよう。 トピックス1・全セ界貯金消滅事件!
球界史上初の珍事が1年に2度も起きた。7月3日と21日にセ・リーグの全6球団が勝率5割を下回り、借金を抱えたのだ。この事態を招いたのが、5月26日から6月16日にかけて行われた交流戦。セは44勝61敗3分と大きく負け越したため、このときに生まれた借金17を、6チームで分配しなければいけなくなった。さらに交流戦開始時点では貯金9、7を抱えて独走していた
DeNAと
巨人が、交流戦では3勝14敗1分の12位、7勝11敗の11位と失速したことも混セの要因となった。7月22日に
ヤクルトと
阪神が勝率5割に戻したことで、以降は不名誉な事態を免れることができたものの、貯金ゼロの期間は計15日間。全セの選手、ファンにとっては屈辱の日々だった。
トピックス2・若き強肩王誕生!
弱冠21歳で扇の要を務める
ロッテ・
田村龍弘が、自らの武器を生かして12球団の頂点に立った。今季の盗塁阻止率.429は2位の
ソフトバンク・高谷を7厘差で抑え、堂々の両リーグトップ。特筆すべきは捕球から送球までの速さで、春季キャンプ中からピッチングマシンを相手に動作を繰り返すなど、ひたすらに磨き上げてきた武器だ。昨季も.412と好成績だったが、さらに成長を果たした。今季のパ・リーグ盗塁王の
日本ハム・
中島卓也は34盗塁、7盗塁刺で成功率は.829だったが、その俊足選手を相手に4盗塁、3盗塁刺と互角の成績を残したことからも充実具合がうかがえる。来季に目指すは、12年の小宮山(阪神)以来の盗塁阻止率5割超えだ。
トピックス3・赤ヘル斬り込み隊長の一番力!
優勝候補に挙げられながら、3年ぶりのBクラス、4位に沈んだ
広島。緒方監督が「一番を獲ってほしい」と期待して競争させた
鈴木誠と野間のいずれもその打順にフィットしなかったことが、迷走の始まりとなった。今季6人が任された“一番打者”にスポットを当てて、勝敗を振り返ると(表1)、最も多く任されたのが
丸佳浩で63試合。36勝24敗3分けで勝率は.600に上った。そのすべてのケースで二番は菊池が打った。そのほかでは田中、菊池、野間、安部、鈴木誠が一番で先発したが、いずれもその試合の勝率は5割に届かなかった。また、丸の打順別の勝敗を表2にまとめた。やはり一番での勝率が最も高く、指揮官が「何でもできるから理想」と語っていた三番では勝率.390。201
トピックス4・投げて、打って、番長の23年間!
プロ24年目のDeNA・
三浦大輔が5月5日のヤクルト戦(横浜)でシーズン初勝利。この白星で、今季限りで現役を退いた
中日・
山本昌、ソフトバンクの工藤監督の持つプロ野球タイ記録となる23年連続勝利に並んだ。山本昌は最多勝を3度獲得したが、工藤監督と三浦は経験なし。逆に三浦はシーズン最多敗を2度経験している(2007年と13年にともに13敗)。先発ローテを守り続けることで到達した記録だった。さらに、“ハマの番長”は打撃でも記録を打ち立てた。5月20日のヤクルト戦(神宮)で、23年連続安打で「世界の王」を超える歴代5位タイに立ったが、本人は「比べたら失礼」と予想外の記録に恐縮するばかりだった。
トピックス5・高まる観客動員数。Bsの新戦略とは!?
“オリ姫”効果は絶大!?
オリックスの観客動員数が170万7220人を記録。実数発表となった2005年以降最多だった昨年の170万3734人を3486人更新した。動員数の推移を見ると、昨年から飛躍的にアップしている。その背景には“イベント”の開催が大きい。昨年から女性ファンを対象とした「オリ姫デー」の開催や、限定ユニフォームで行う「夏の陣」で、来場者にプレゼントを配るなど、さまざまなイベントを多数開催。野球観戦「プラスアルファ」のイベントが動員数増につながっており、今年4月29日の「オリ姫デー」では、3万6128人が来場。球場がピンクのユニフォーム一色に染まった。新たな“野球観戦”を確立した球団の“企業努力”が実った成果と言えるだろう。