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特集・真の「黄金世代」を探れ!
1980年生まれ 生き残りを懸ける“松坂世代”

 

 そもそも1980年生まれの彼らが注目を集めたのは、プロ入り以前の98年夏のこと。中でもメーンキャストである横浜高・松坂大輔(ソフトバンク)が、夏の甲子園の準々決勝で延長17回の死闘、決勝ではノーヒットノーランを演じるなど、心を揺さぶるゲームの連続で、お茶の間の感動を誘ったことが始まりだった。“平成の怪物”と呼ばれるようになった松坂は、その後、西武入りしすぐに日本のエースとなり、日の丸を背負ってもWBC連覇で2度の世界一に貢献するなど、傑出したタレントに成長を遂げていく。

 また、同年代から新人王が5人誕生するなど、有能な選手がそろっており、中でも投手に才能が集中していた。例えば和田毅(ソフトバンク)は10年にMVP、11年には左腕としては史上最速で通算100勝に到達するなど、球界を代表する左のエースに。ほかにも通算142勝で最多奪三振3度の杉内俊哉(巨人)、最多勝経験のある館山昌平(ヤクルト)、05年の新人王・久保康友(DeNA)、リリーフでは「火の玉ストレート」が代名詞の藤川球児(阪神)など枚挙にいとまがない。

 野手は2度の本塁打王の村田修一(巨人)がいるが、多くが一、二番タイプで渋め。加えて東出輝裕(元広島)、梵英心(広島)が内野守備で、森本稀哲(元日本ハムほか)や赤田将吾(元西武)が外野守備で評価される玄人好みする選手たちだった。

 しかし、総勢94人(外国人選手を含まず)のプロ野球選手を輩出した松坂世代も、16年は22人を残すのみとなってしまった。今年で36歳。スポーツ選手の寿命が延びているとはいえ、入団当時のスタイルを貫くことは叶わない。経験を重ね柔軟な変化で対応してきたものの、彼らの多くが崖っぷちに立たされている。

 怪物・松坂もその1人。昨季、8年間のメジャー生活に終止符を打ち、ソフトバンク入りも、故障のために一軍登板はなし。その後、手術を行っており、今季開幕も絶望である。和田、藤川はメジャー挑戦失敗の末にそれぞれの古巣に今季復帰も、メジャー帰りの成功例は少なく、否定的な意見が多い。国内組の杉内は股関節手術の影響で復帰は後半戦が濃厚。4億5000万円減の史上最大減俸を受け入れた。村田も二十歳の岡本和真との定位置争いが待ち受けるなど、一時代を築いた選手たちが生き残りを懸けた1年を迎えている。

生まれた年のデータ
■優勝チーム/セ=広島、パ=近鉄、日本一=広島
■甲子園優勝/春=高知商高[高知]、夏=横浜高[横浜]
■同学年の他競技アスリート/市川大祐、中村憲剛(サッカー)、萩原智子(水泳)、田臥勇太、五十嵐圭(バスケットボール)、朝青龍(相撲)
■主な出来事/第1回の全国規模のホワイトデー開催、「ゲーム&ウオッチ」発売、王貞治引退、モスクワ・オリンピック日本ボイコット、東京-博多間が6時間40分に、ジョン・レノン銃殺事件
■流行語/赤信号みんなで渡ればこわくない、カラスの勝手でしょ、竹の子族、とらばーゆ、ぶりっ子

ベストオーダー
1(中)森本稀哲
2(二)東出輝裕

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