週刊ベースボールONLINE

特集・至高の投手論2016
ドジャース・前田健太に聞く メジャー挑戦への自信、広島への思い

 

夢に見た舞台に立つ日が近づいている。広島をエースとして支えた前田健太がついに海を渡った。希望と不安、腹背にある2つの感情を胸に、現地時間2月20日いよいよキャンプイン。ドジャーブルーのユニフォームに袖を通して汗を流す日を前に、メジャー・リーグで戦う決意を語った
取材・構成=菊池仁志、写真=矢野寿明



キャンプイン直前の緊張感


前田健太がメジャーへの夢を初めて広島球団に訴えたのは2013年オフのこと。そこから2年、ついに夢の舞台に立つときがきた。15年オフ、ポスティングシステムを行使してメジャーに挑戦することが容認され、12月中旬に渡米。年末に一時帰国したのち、ドジャースと契約を交わすため年明けの1月7日(日本時間8日)には再渡米と、このオフは多忙を極めた。それでも、その後は2月20日のキャンプインに向けて広島、東京と場所を移しながら準備を整えてきた。そして2月11日、日本を後に。メジャー・リーガー前田健太の挑戦が始まった。

――メジャー・リーグへ戦いの場所を移します。この自主トレはどのような目的を持って取り組んだのでしょうか。

前田 初めてのことですから、分からないことばかりです。だから、日本でやってきたようなペースでやっています。キャンプインは(2月)20日と日本より遅いですけど、その段階で同じ状態でいられるように。いい状態でスタートを迎えられるように意識してやってきました。

――メジャーのための特別な準備をしてきたわけではない。

前田 特にないですね。とりあえず行ってみないと分からないので、いつもどおりの調整をしていくしかないですよね。いま、特別なことをしても仕方がない。そこはいろいろと経験をしていって、そこから分かることがたくさん出てくると思うので。

――10年に沢村賞を獲得する活躍をした翌11年、10勝12敗の成績に終わったことで、本格的に取り組み始めたという肉体強化はこのオフも変わらず進められましたか。

前田 それはオフにかかわらず、年間を通じてやってきていることです。毎年毎年、そういう気持ちでやっているし、今後もそういうつもりです。もっと体を強くしたいと思っています。

――これまで以上のパフォーマンスを発揮するためにも重要な部分です。

前田 今年は環境が変わるので、自分が見せられるものも変わると思いますけど、そこはまた心新たに。いままでやってきたことでも捨てるものは捨てる必要があるでしょう。新たな気持ちで臨みたいですね。新しい環境に慣れるための準備だけはしっかりしてきたつもりです。

――その環境の変化に対する気持ちはどのようなものですか。

前田 初めてのことがたくさんあるので、もちろん不安もあります。ただ、自分が望んだ場所に行けるという楽しみもあります。そういうところでいろんな気持ちが入り混じっていますね。怖さもありますが、それを楽しみに変えてやっていければいいと思います。

――メジャーの強打者との対戦が待っています。それも楽しみ、と。

前田 バッターとの対戦を楽しみにできることはなかなかないんですけどね(苦笑)。ただ、自分がそういう舞台で投げたいと思ってやってきて、今回、そのチャンスが生まれたのでそういう面での楽しみですかね。いざ始まってみると純粋に楽しむことはできないと思いますけど、それを前にした楽しみです。

――「楽しみ」という言葉では表現しきれない感情ということですね。

前田 何でしょうね。いままでにない気持ちなので、言葉が見つかりません。これまでは毎年、同じ場所で同じ相手に投げてきましたので、それが変わる新鮮な気持ちがあります。この9年続けてきたものが、すべて変わる。久しぶりにそういう環境の変化があって、また新たな気持ちで野球ができるという意味では、ワクワクというかドキドキというか・・・

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