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特集・2016春季キャンプ中間採点
オリックス・まずは個のレベルアップを

 



△=左投(投手)、左打(打者)、□=両打
【2016年予想オーダー】
(右)△糸井嘉男
(二)△西野真弘
(遊)中島宏之
(指)ブランコ
(三)モレル
(一)小谷野栄一
(左)△吉田正/△T-岡田
(捕)伊藤/山崎勝/若月
(中)△駿太

【2016年投手布陣】
※◎確定、○可能性大
[先発]
金子千尋
西勇輝
ディクソン
東明大貴
山崎福也
松葉貴大
吉田一将
[中継ぎ]
佐藤達也
岸田護
海田智行
[抑え]
コーディエ
平野佳寿

競争意識が奏功


新戦力を中心に選手の動きをチェックする福良監督[右]は、若手の台頭に期待を寄せる



 まさにゼロからのスタート。練習メニューはノックや打撃練習、投手はブルペンでの投げ込みと基本的なメニューが主。基礎を固めて、5位に甘んじた昨季から巻き返しを図っている。その中でも「まずは個の能力を上げること。結果を残した人間が一軍に残る」と福良淳一監督はチーム内競争をあおり、「若手の底上げが今のチームには必要」と、新戦力の台頭に期待を寄せる。

 それだけに一軍スタートの大城滉二、鈴木昴平、杉本裕太郎の新人3選手に加え、コーディエ、ボグセビック、モレルの新助っ人の動きを入念にチェック。新加入の選手たちがハツラツとしたプレーを見せれば、移籍2年目を迎えるブランコがフリー打撃で45スイング中13本のサク越えを放つなど、負けじとアピール。競争意識が個のレベルアップも呼んでいる。

 ブルペンも熱を帯びる。昨季まで直球とフォークを軸にしていた平野佳寿が、今キャンプではスライダー、フォークなどを数多く投げて変化球の精度向上に努めれば、佐藤達也は201球を投げ込み体力強化を図るなど、各自が課題克服に汗を流す。

 ハードな練習を課す選手が目立つ一方、第2クールを終えて故障離脱者はゼロ。投手、野手陣ともにコンディショニングのメニューが組み込まれ、体のケアを徹底。昨季の屈辱を胸に秘めつつ“故障者続出”の失敗を繰り返さぬよう強化を進めている。

左翼が空席!?


二軍でくすぶるT-岡田。左翼の定位置争いは混沌模様だ



 個々がレベルアップし、それぞれの力が集結してチームとして機能させる。その前段階、各ポジションの定位置奪取をかけて、キャンプ後半は実戦形式の練習が増えてくる。そこで求められるのは、当然“結果”だ。中でも投手に比べて仕上がりの早い野手は、より結果を求められるが、混沌模様なのが左翼手。昨季のレギュラーT-岡田は、昨季に痛めた左アキレス腱の影響で二軍スタートで、2月9日には紅白戦に四番として出場したが2打数無安打に。

「(若手中心の)このメンバーなら目立ってほしかった。『元気に野球できます』というだけでこっち(一軍)に呼ぶわけにはいかない」と指揮官に厳しい評価を下されて一軍昇格は見送り。

 ドライチ・ルーキーの吉田正尚も左翼手の筆頭に挙がる。だが、打棒を買われて2月6日に一軍合流を果たすも右ワキ腹を痛め、打撃練習を回避。福良監督は「(練習の)制限付き選手を一軍に置いておけない。吉田だけ特別というわけにはいかないからね」と話し、わずか2日間で二軍へ逆戻り。有力選手はいるものの決め手を欠いている。ほかにも新助っ人のボグセビックや宮崎祐樹小田裕也、杉本裕太郎、二軍には武田健吾ら、候補は多数いるだけに、ポジション争いは混沌模様。実戦でアピールに成功し、左翼手の定位置を確保するのは、果たして誰になるのだろうか。

抑え固定で接戦モノに




 昨季のチーム合計セーブ数は、両リーグ最少の30で、1点差の試合は32敗(13勝)と接戦の弱さを露呈した。先発陣は、エース・金子千尋、西勇輝、ディクソンと安定感のある3本柱は健在。きっちりとゲームメークを果たせるだけに昨季、防御率4.06と崩壊した救援陣の再建が急務だ。そんな中で抑え候補の筆頭には最速160キロ超の直球と150キロ台のツーシームが武器のコーディエ(写真)が挙がる。まだまだ実戦では未知数の右腕だが、不動の守護神となれば、平野佳寿、佐藤達也のダブルセットアッパーも可能になるだけに救援陣は強固となる。

キャンプトピックス・開幕投手は金子に決定?




 第2クール限定で臨時コーチを務めた山田久志氏が2月7日にエース・金子千尋の投球を見守った。通算284勝の右腕は「ノープロブレム!」と金子の投球を称え、「20勝、沢村賞、チームを日本一に導くこと」を厳命。さらに山田氏が「開幕よろしくお願いします」と言ったことに対し、金子が「遠回しに聞いています」と答えたことを暴露した。これに福良監督は「開幕は決めています。でも、(本人には)言ってません」と、とぼけ顔。昨季は右ヒジ手術の影響でディクソンに譲った開幕投手。今季は早くも、エースが大役を務めることが決定!?

ブレーク必至の男・大城滉二




 早くも持ち味を発揮している。東京六大学リーグ通算112安のヒットメーカー・大城滉二が、紅白戦で総合力をアピール。正遊撃手・安達了一が潰瘍性大腸炎で開幕に間に合わない見通しの中、「一番・遊撃」で出場し、初回に二塁打を放つと、守備でも遊撃、二塁の両方を無難にこなした。開幕スタメンの期待も寄せられるドラフト3位ルーキーは、「初球からストライクは振っていこうと思っていた。積極的にいくのは大学からやってきたこと」と、自然体を貫く。中長距離打者が多いチームに“安打製造機”が加われば、打線はより活発になるに違いない。
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