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特集・GT新時代
巨人・近未来の四番候補 岡本和真

 

周囲の想像をはるかに上回る速度で岡本和真が成長を続けている。入団時は数年後の一軍定着と5年後の四番、そして2020年東京五輪での侍ジャパン入り(これは本人の目標)を育成プランの目安としていたが、これを前倒し。高橋由伸新監督に三塁のレギュラー抜てきを迷わせるほどのパフォーマンスを、このプレシーズンで披露している。下位で自由に打たせる環境が整えば、さらなる成長を促すことは請け合いである。
取材・構成=三浦正(スポーツライター)、写真=BBM

 高卒2年目ながら今春キャンプを一軍フル帯同した。巨人打線の将来を担う岡本和真は「レベルが高い中で野球をすることができました。皆さん、メリハリをつけた中で練習をしていて、勉強になりました」と、日焼けした顔に充実感を浮かべた。

 背番号は「38」。その理由を聞けば、岡本に対する球団の期待の高さが感じられる。原辰徳前監督が長嶋茂雄終身名誉監督の「3」と、自身が現役時代に背負った「8」を合わせた番号を提案し、2人と同じく右打ちの三塁手として大きく成長してほしいと願いを込めた。一昨年のドラフト指名直後には、その原前監督は「将来、ジャイアンツを背負って立つ、魅力のある可能性を秘めた選手。打撃も守備もスケールが大きい。大型三塁手として育てていく」とまで口にしていた。

 実際、1年目から、その片りんを見せつけた。腰痛などの故障もあって序盤は二軍戦を欠場する期間もあったが、シーズン後半には一軍に昇格。村田修一がケガをしたタイミングで、優勝争いを繰り広げるチームで先発を任されることも多くなり、9月5日のDeNA戦(横浜)ではプロ初アーチもマークした。ただ、本人は一喜一憂することなく「本塁打を重ねることを目標に(プロに)入ってきた。目の前のことをしっかりやっていきたい」と地に足をつけたコメントを残している。

 結局、1年目は二軍で69試合に出場し、打率.258、1本塁打、15打点、一軍では17試合で.214、1本塁打、4打点だった。19歳を迎えるシーズンでは決して悪くはない成績のように感じられるが、本人にその意識はなく、自信をつかんだかと言う問いには「それはない」と即座に返した。

 故障で離脱した、二軍戦で思うような成績を残せなかったなど、本人の中では不本意な部分が残った。



 オフには宮崎でのフェニック・スリーグ、台湾でのウインター・リーグなど休む間もなく実戦を継続し、その中で宮崎では打率4割超え、台湾でも3割8分を超える高打率を残し、打点王を獲得。「打席に多く立って経験していくことが大事」と試合の中で成長を続けた。

年が明けてからは村田修一、坂本勇人長野久義らのグアムでの自主トレーニングに同行し、寝食をともにした。「1人でやるよりも勉強になりました」と技術論はもちろん、体のつくり方などグラウンド内外で濃密な時間を過ごした。順調にオフを過ごし、キャンプでは一回りたくましくなった姿を披露した。

 重心を下げ、どっしりとした打撃フォーム、ゆったりとしたタイミングの取り方。逆方向にも大きな打球を飛ばしていく。臨時コーチを務めた松井秀喜氏は「いい形で打てている」と認め、視察に訪れた侍ジャパン日本代表監督の小久保裕紀監督は「1年でこんなに成長するのか、と感じた。腕の使い方に天性の柔らかさがある」と絶賛した。

 また、内田順三打撃コーチは「初球から変化球でも打ちにいく。積極的にいくのが一番の利点。変化球にも対応力がある」と長所を挙げる。岡本も「初球から強く振ること」と意識している。狙い球は特に絞らない。しっかりとした形で、ファーストストライクをとらえにいくことを頭に置いている。

 一方、課題と言われている守備では、連日、井端弘和内野守備走塁コーチの指導の下、特守に臨んだ。足の運び方やスローイング方法など、一から見直した。守備上達への意欲は本人も強く「セ・リーグでは守れないと(試合に)出られない。基本をしっかりやらないといけない」と気持ちを入れ直した。「体のキレを出したい」と貪欲だ。

 長打力は持って生まれた天性の才能。それを生かしながら、さらなる進化を目指している。「反動をつけて、打球を飛ばそうとしない」が現状のテーマだ。将来も見据え、確実性の高い打撃を身につけようとしているわけだ。

 オープン戦で結果を残せば、坂本のように高卒2年目でのレギュラー抜てき・奪取も見えてくる。“試合の中で成長していく男”にとっては、1つの大きなターニングポイントを迎えている。

コーチの目・井端弘和内野守備走塁コーチ




 キャンプを通じての特守で守備が上達したかって?まだまだ(笑)。そんなに簡単に身に着くものではないので、繰り返しやるしかない。そこは本人の頑張り次第。ただ、捕り方などを教えているので、コツをつかめば一気に伸びる。守備は徐々に伸びていくものではなくて、平行線が続いて、何かのきっかけで急にうまくなる。そこでまた頭打ちをして、伸びなくなるけれど、また上を目指していかないといけない。野球をやめるまで根気強くやるしかないね。

コーチの目・内田順三打撃コーチ




 新人のときから質のいい子。バットの軌道や右方向への打球など天性を感じます。ストライド(ステップ幅)が大きくなったら下半身が回らなくなるので、バランスが大事になってくる。オフの宮崎でのフェニックス・リーグ、台湾でのウインター・リーグと課題をクリアして、順調にきていると思います。あとはゲームにどんどん出て、ミート力が上がれば、おのずとパフォーマンスも上がってくる。基本的なところはできているので、ここから観察力や洞察力を高めていけばいい。

PROFILE
おかもと・かずま●1996年6月30日生まれ。奈良県出身。右投右打。184cm96kg。智弁学園高から15年ドラフト1位で巨人入団。高校3年時にセンバツで1試合2本塁打を放つなど、高校通算73ホーマーのパワーで注目を集めた。高校侍ジャパンでも四番を打つ。巨人入り後は新人年の昨季終盤に一軍デビューすると、プロ3打席目で初安打・初打点・初本塁打を記録。今春キャンプには一軍帯同し、三塁の定位置を争っている。

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