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チームを変革する新人

広島の新星・横山弘樹の初登板を振り返る

 

先発投手のコマ不足が深刻なチームにあっては、新人投手の出来が浮沈のカギを握る。未知の可能性を持つ広島のルーキー・横山弘樹の初登板をチェックし、今後の可能性を探る。

多彩な変化球を駆使する一方で、直球では果敢に内角を突き、中日打線に的を絞らせなかった


 広島のドラフト2位ルーキー・横山弘樹が3月30日の中日戦(ナゴヤドーム)に初先発し、7回2/3を投げて3失点。2016年の新人で先発勝利一番乗りを果たした。

「いい緊張感で入れました。冷静に投げることができた」

 カーブ、カットボール、チェンジアップ、フォーク、スライダーと多彩な変化球をストライクゾーンに散りばめた。初回二死一、二塁ではナニータを内角カットボールで右飛に、3回二死一塁では4試合で3本塁打を放っていたビシエドをカーブで投ゴロに打ち取った。無死満塁のピンチを招いた5回はエルナンデスを内角カットボールで詰まらせ、4-6-3のダブルプレー。続く遠藤一星も同じボールで二ゴロに打ち取り、最大のピンチを最少失点で切り抜けた。

 持ち味を生かすため、取り組んできた直球の質の向上の成果も出た。オープン戦では右ヒジが下がる悪癖が顔を出し、シュート回転した直球をとらえられて大量失点するシーンも。「恐れずに直球を投げることがテーマだった」というこの試合は最速144キロながら強気な攻めで中日打線に的を絞らせなかった。与えた3死球も意思の表れだ。

 チームは昨年からナゴヤドームで8連敗を喫していた。「新人だから、それは関係ない。目の前の1勝と思っていた」との気迫に打線も応え、15安打11得点の猛攻。2回一死一塁で先制点につながる右前打を放った新井貴浩は「新人だし、早い回に援護したかった」と3安打2打点でルーキーの背中を押した。

 横山は8回一死一、二塁でナニータにタイムリー、さらに二死満塁で杉山翔大に押し出し四球を与えて8回途中3失点で降板。「乗り越えていける投手でないといけない。次への反省です」と新たな課題も得た。先発5番手として抜てきした緒方孝市監督は「リズムも良かった。十分。恐れることなく投げてくれた」と投げっぷりを評価。「気持ち良く、次も行ってもらいましょう」と先発ローテーションの一枠をしばらく任せる方針だ。

新人先発白星一番乗りを果たし、ウイニングボールを手に緒方監督とポーズを取る横山[右]

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