短期決戦で互いに情報が少ない交流戦。情報不足は“能動的”な投手より、“受動的”な打者に不利と言われる。つまりカギを握るのは投手、それも個性派が多く、初対決での攻略が難しいとされる左腕投手ではないか。ここでは今季好調を維持する8人のサウスポーについてDELTAの詳細データと、野球解説者で自身も現役時代、左腕投手として活躍した川口和久氏の分析で紹介していく。 データ提供/DELTA、※記録はすべて5月29日に集計 阪神・岩貞祐太 相乗効果で急成長した虎の奪三振マシン
もともとスピードがあり、インコースへのクロスファイアは十分一軍で通用するボールではあったんですが、それ以外の球種の質と制球にばらつきがあって、まだまだ一軍の先発に定着する力はなかった。それが今年は右打者の外に逃げながら落ちるチェンジアップを習得し、ストレートも右打者のアウトコースの出し入れがうまく使えるようになりました。おそらくですが、キャンプから
江夏豊さん(元
阪神ほか)が臨時コーチをしていましたので、そのアドバイスもあったんじゃないでしょうか。僕も
広島時代、先輩の江夏さんに右打者のアウトコースを大切にしろとよく言われました。投手はアウトコースの出し入れができるようになると、さらに思い切ってインコースを突け、ピッチングの幅が広がります。これはもう相乗効果ですね。奪三振も増えています。リーグ最多の70、奪三振率10.27もトップ。素晴らしい成績です。
僕が印象に残っているのは、4月2日の
DeNA戦。立ち上がりから乗っていけずに、4回には一死満塁となった。いい球と悪い球がはっきりしていたんだけど、そこから開き直ってインサイドのストレートで二飛。その後、三振で抑え、一気に乗っていき、今季初勝利を挙げています。あの追い詰められた場面での1球。あれは彼を変えた1球だと思いました。
球種が増え、左打者のカーブ以外の被打率はまずまず。球種別で見ると15年、メッタ打ちだった対左へのカットボールの良化が目立つ。スライダーとの投げ分けができるようになったようだ。あと今季から投げ始めたのがシュート。左打者にかなり効果を発揮している
DeNA・今永昇太 新人らしからぬ完成度で大物感漂う
今年のドラ1左腕です。なかなか勝てず、開幕から4連敗でしたが、あれは打線の問題。4月は、まったく打てなかったから仕方ありません。
最初から非凡なものは感じていました・・・
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