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2016ドラフト直前展望

創価大・田中正義 印象づけた「完全復活」と水面下の葛藤

 

右肩違和感の回復ぶりが心配されていたが、この秋、エース兼主将としてマウンドを守り、周囲の不安を一掃している/取材・文=岡本朋祐、写真=藤井勝治


 この秋はノーワインドアップではなく、無走者であっても、セットポジションで投げている。「今の感覚でより、いい状態を探っていく。ワインドアップに戻すことは難しいです」。躍動感ある姿を知る者からすれば、やや物足りない。そこで聞いた。

「今後は、元に戻しますか?」

 すると、田中正義は鋭い目で即答。

「この秋しか、考えていないので」

 最後の秋に目指すはリーグV奪回、悲願の大学日本一。エース兼主将は、目の前の戦いだけに集中している。

 田中はラストシーズンを控えた夏場、十分な投げ込みができなかった。右肩関節炎症により、今春のリーグ戦登板は2試合。3月上旬、侍ジャパントップチーム強化試合への招集が予定されていたが、1カ月前倒しの調整がうまくいかず、見送られた。

 4月の開幕を照準にしていたが、高校1年時にも痛めた右肩に負担がかかる。筋肉が落ち、関節が緩くなったのが“違和感”の原因。再発防止のため、インナーマッスルを鍛えた。慎重にキャッチボール、ブルペン入りと段階を踏んだ。実戦復帰も間近の矢先、7月下旬に右太ももの軽い肉離れで、復活プランに狂いが生じた。

 走り込みも満足にできず、オープン戦2試合を経て開幕。高千穂大1回戦(8回1失点)、共栄大1回戦(6回1失点)で勝利投手。だが、共栄大戦の翌日には熱中症に近い症状が出るなど、納得できない状況が続いた。

雨天中断再開後の“続投”が復調の証


 故障個所が古傷ということで今秋、スカウトは確認に追われた。“最終評価”を決めたのは、東京国際大1回戦(9月24日)だ・・・

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