バース、掛布雅之、岡田彰布そして真弓明信といえば、1985年の阪神・猛虎打線をけん引し、21年ぶりのリーグ優勝に導いた主役たち。一方、西武との日本シリーズでは、ワキ役・長崎慶一氏(当時の登録名は長崎啓二)が、第6戦の初回に満塁本塁打を放ち、球団初の日本一に導いたのだ。その長崎氏に85年の日本シリーズを振り返ってもらった。 取材・構成=椎屋博幸、写真=BBM 第4戦の四球後の盗塁で心がほぐれる
1985年に阪神に移籍したとき、レフトは仙ちゃん(
佐野仙好)がいましたから、代打での起用が多くなることは分かっていました。その中で、ナイターの試合がある日、朝11時くらいに球場へ行くと、
川藤幸三さんが座ってコーヒーを飲んでいた。これは何かあるなあ、と思い、翌日さらに早く行ってみると、黙々と打撃練習をしていたんです。そこで、私も早く行き一緒に練習し、そのことを若手の
吉竹春樹や
北村照文などに伝えると、みんな練習に来るようになりました。そしていつしか控え選手たちに和ができていき、狙い球などを話し合ったりするまでになりました。
私にとって初めてのリーグ優勝でしたが、とにかく厳しい戦いでした。そして日本シリーズに突入するのですが、リーグ優勝は10月16日でシーズン終了は10月24日。日本シリーズは10月26日からだったので、シーズンの感覚のまま突入した感じでした。
西武は、
広岡達朗(西武監督)さんがこのシリーズで辞めるらしいから、あんまり力を入れないんじゃないか、という噂がありつつも、一方で報道などで広岡さんが「第7戦まで使って勝つ」と言われていたので、何をしてくるんだろう、と不気味な感じは持っていました。
第1、2戦は、展開的に私が打席に立つことはない内容でした。でも、ベンチにいて試合に出た選手たちに、西武投手陣の真っすぐの伸びがどうなのか、データと何が違うかなどを聞いていました。
第3戦の9回に初めて代打で打席に立ちました。投手は
東尾修さん。スライダーを狙いましたが、逆にそれを打たされ一塁ゴロという結果になりました。日本シリーズの独特の雰囲気に飲まれ、緊張で力みましたね・・・
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