この男の夢の終着点はどこにあるのだろうか。入団以来、投打の二刀流でセンセーショナルな活躍を続ける大谷翔平。異次元の領域に足を踏み入れた2016年でさえも本人の中では達成感はないと平然と語る。いまだ底を見せない22歳。すでに新シーズンに向けて動き始めている日本球界の至宝が、胸に秘める熱き思いのすべてを語り尽くした。 取材・構成=松井進作、写真=阿部卓功(特写インタビュー)、BBM 二刀流で切り拓く果てしなき夢
日本ハムに入団して4年。80年以上に及ぶプロ野球の歴史を次々に塗り替え、さらには球界の既成概念までもぶち破ってきた22歳の才能。そんな男が見据える未来にはどんな景色が広がっているのだろうか。冷静につむぎ出されていく1つひとつの言葉の中に「なぜ大谷翔平が二刀流で結果を出し続けられるのか?」の理由の一端を垣間見ることができる。 ──まずは一番知りたかったことから率直にお聞きします。二刀流でプレーする大谷選手の中で、究極の目標であったり、明確なゴールはすでに思い描いてはいるのでしょうか。また、その終着点が100だとしたら……現段階でどこまできているのか。
大谷 それはこれから僕が辿っていく道で変化もするでしょうし、ゴールというのは決めてないですね。もちろんボヤッと「将来的にはこういうふうになりたいな……」というのは自分の中にはありますけど、それはまだまだ漠然としたものなので。終着点に関しても100が本当のゴールではないとも思うんですよね。
──それはなぜ?
大谷 そもそも100が決まってないというか、きっと100を目標にしても55ぐらいの段階で130ぐらいの目標をまた見つけちゃうと思うので。だからそういったゴールの達成感みたいなものは現役を終えるまで味わえないのかなと。それに2016年もチームとしては日本一になれましたけど、個人的には充実感も達成感もなかったですから。
──MVPと史上初の2部門でのベストナインを獲得してもですか。
大谷 それはまったく関係ないですね。MVPもチームの日本一が評価されてのものだと思っていますし、個人的には僕はまだ何も達成もしていないので。満足感は無に近いです。
──無……ですか。
大谷 そうですね。バッターとしては少しはチームに貢献できたかもしれませんけど、投手としては開幕から全然勝てなかったですから……。焦りや悔しさもありましたし、その時期は正直野球が面白くもなんともなかった。それでも投げるほうで調子が上がらない分、なんとか打つほうだけでも力になりたいと思って必死に毎日プレーしていましたけど。
──そんな「バッター・大谷」選手のプレーの中で16年に最も注目を集めたのが「一番・投手」で出場した7月3日の
ソフトバンク戦[ヤフオクドーム]だと思います。史上初の初球先頭打者ホームランはあまりに衝撃的でした。
大谷 それも個人的というより、チームとして大きかったですよね。あの試合はペナントを争う中で絶対に負けられない試合でしたし、その中でウチが勝負をかけた策でもありましたから。試合の流れをつかめるか否かはすべて僕の第1打席が握っているとも思っていたので。そういう意味では打ててよかったなと。
──実際にホームランは狙っていた?
大谷 狙っていたといえば狙っていたかもしれませんけど・・・
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