快音が球春をさらに賑わせている。早実・清宮幸太郎、履正社高・安田尚憲、日大三高・金成麗生と、例年以上にスラッガーが集う今センバツ。その主役の座を渡すまいと、“怪物”は成長の一途をたどっている。 取材・文=鶴田成秀、写真=矢野寿明、BBM 体重増で飛距離もアップ。フォームも意識改良し、着実に怪物は進化しつつある
2つの苦い経験を成長の糧にして
潰れた声が怪物の“決意”を物語っていた。対外試合解禁日の前日となる3月7日。いよいよ始まる高校ラストイヤー、そして1年生の夏以来、2度目となる甲子園出場へ向けて口を開いた。
「仕上がりはいいし、着実に(打球の)飛距離は伸びています。センバツでは、もちろん優勝を狙っています。でも、自分たちのモットーは一戦必勝。その精神を忘れずにやっていきたい」
練習が始まるや、ナインの中心で大きな声を張り上げる。シートノックが始まる前にはマウンド上で円陣を組み、自身考案のスローガン「GO! GO! GO!」を全員で
コールし、練習を活気づける清宮幸太郎。潰れた声の原因はここにある。
スローガンの「GO」は3つの「5」を意味する。投手の球速5キロ増、打者の飛距離5メートルアップ、体重5キロ増。むろん、自身も例外ではない。冬の間はウエート・トレーニングを重点的に行い、肉体改造を敢行。97キロから101キロまで体重をアップさせた。先輩が懸命に練習をこなす姿を見た2年生の四番打者・
野村大樹も「『お前も頑張れ』と声をかけてくれるし、清宮さんが、あれだけやっているなら『自分もやらないと』と思わされます」と言う。
ナインの中心で練習を活気づけ、主将としての自覚も十分。「自分は経験もある。どんどん伝えていきたい」
ストイックに“成長”を追い求める背景には、昨年の2つの苦い経験がある。1つは昨夏の西東京大会、八王子高との準々決勝だ。3点を追う9回、一死一、三塁で打席に立ち、一発が出れば同点の場面で放った打球は右翼への大飛球。だが、フェンス手前で失速し、打球は右翼手のグラブに収まった(犠飛の1点で敗退)。
「あと5メートル飛ばせていたら……。その5メートルの飛距離アップを目指したい」
2つめは秋季東京大会決勝。日大三高の左腕・
櫻井周斗のスライダーに・・・
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