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いざ、開幕!SPインタビュー

日本ハム・栗山英樹監督インタビュー 日本一連覇に秘策あり

 


昨シーズンはファイターズを10年ぶりの日本一に導いた栗山英樹監督。だがそれはゴールでなく、次なるステージへの始まりでもあった。「いままでと同じことをやっていても絶対に勝てない」と語る指揮官が描く「日本一連覇」への秘策とは──。
取材・構成=松井進作、写真=榎本郁也、小山真司、高原由佳

クローザー・大谷!? 炸裂するか栗山マジック


まるでマンガの世界のような結果を生んだ昨年の「一番・ピッチャー大谷」をはじめとしたサプライズ起用。日本プロ野球史に刻むミラクルVの道筋をつけた名采配は、果たして2017年シーズンもさく裂するのか。日本一連覇へ向けて走り始めた指揮官に驚くべき選手起用プランの一端を明かしてもらった。

──2017年のペナントレースが開幕しました。この時期というのはいつもどのような心境ですか。楽しみなのか、不安なのか。

栗山 これまでの僕であれば「楽しみと不安の半々ですね」といった話をしていたと思うんですけど、今シーズンに限っては不安のほうが9割5分ぐらい……かな(苦笑)。開幕からの戦い方はもちろん何度もシュミレーションしてきましたし、戦うイメージはできているんですけど。それでも僕の頭の中にある漠然とした不安は拭い切れないんですよね。

──具体的にその不安とはどういった部分なのですか?

栗山 現状で故障者が多いこともそうなんですけど、一番はピッチャーですよね。例えばミヤ(宮西尚生)や増井(増井浩俊)がWBCで頑張ってきてくれましたけど、彼らのリアルな状態がどうなのかはシーズンに入ってみないと分からない部分があるので。もちろん能力は100%信じていますけど、WBCの疲労が体と心を含めてどこまで残っているのか。そのあたりはしっかりと見極めながらシーズンの序盤は起用していかないといけない。あとは2013年の怖さがあるので、やっぱり僕の中では。

──2012年に監督就任1年目でリーグ優勝を果たすも、翌年は最下位に転落。その怖さでしょうか。

栗山 そうですね……あの1年を経験しちゃっているから怖いんでしょうね、僕。だから昨シーズンも日本一になった感慨や喜びというのはほとんどなくて、むしろチームの課題ばかりが浮き彫りになってしまったなと。それを改善するために2月のキャンプからずっとやってきたんですけど、まだこの段階になってもそれは正直解消されていないので。

──そのチームの課題とは?

栗山 (うなずきがら)まあ、いろいろとあるんですけど、一番は1つひとつのプレーの精度の高さですね。例えばピッチャーなら「常に有利なカウント、ボールカウントを悪くしないようにしましょう」と決めますよね。じゃあ具体的に「どこでカウントを取って、それをどういうふうに取るのか」ということが、まだまだちゃんとできていない。その部分がきっちりしていないとこっちも細かい仕掛けのサインが出せないですし、昨シーズンの広島との日本シリーズなんかでもベンチでずっともどかしさを感じていました。もちろん選手たちは毎日必死になって考えながらやってくれていますけど、もっとできることはあるでしょうよ、と。さらに高いレベルで野球をやるためにも、これから先もその部分はチームとして、さらに追い求めていかないといけないなと思っています。


──それが日本一になっても「実感がない」とずっと言われていた真意でもあるのでしょうか。

栗山 まあ、そうですね。このチームはまだまだ発展途上ですし、優勝した次の年こそ形を変えて前に進まないといけないので。昨シーズンと同じことをやっていても絶対に勝てないですから。不安を抱えながらのスタートにはなりましたけど、腹をくくるところはくくって攻め続けたいとは思っています。

──その中で気になるのがやっぱり大谷翔平選手の起用法です。足首のケガの影響で開幕はバッターに専念しての船出となりましたが、状況次第ではクローザーでの投手復帰プランもあるかも、と言われていましたが。

栗山 実際にやるかやらないかは別問題として、先発だけでなく、中継ぎやクローザーでの復帰パターンも・・・

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