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2017ニューヒーロー伝説

ロッテ・佐々木千隼 したたかに、力強い船出

 


次代の“ニューヒーロー”へ早くも名乗りを上げているルーキーを中心とした若き選手たち。まずはカモメの先発ローテーションを勝ち取った佐々木の初先発をチェックしていこう。
写真=川口洋邦

佐々木が新人の先発勝利一番乗り!


 ZOZOマリンの空は荒れていた。4月6日の日本ハム戦、この日は朝から抜けるような青空が広がっていたが、試合前練習が始まる10時過ぎになると、厚い雲が押し寄せてくる。試合開始の14時には、上空を10メートルを超える強風が吹き荒れていた。しかし、プロ初登板初先発を果たしたルーキー・佐々木千隼は最後の最後で何とかマリンの風を御し、力で日本ハム打線を抑え込む。5回3安打6四球1失点、12球団一番乗りで新人の先発勝利をもぎ取った。

 風に苦しみ、最後は風に助けられた。自慢のカーブとシンカーは強い風の影響を受け、大きく曲がり、落ちる。そして、伊東勤監督が試合前に「風が強いので制球に苦しむかもしれない」と危惧していたことが現実となった。風を味方にツーシームの威力を増してロッテ打線を翻ろうした相手先発の斎藤佑樹とは対照的に、「(風は)予想以上だった」という佐々木は鋭く曲がる自らのボールを操り切れない。捕手の田村龍弘が何度となくのけぞり、左右に動きながら必死にボールを押さえていく。

 初回は二番に入った大谷翔平へ四球を与えるも、三番・近藤健介を二ゴロ併殺。2回には先頭から連続四球でピンチを招くが、田村の盗塁刺殺もあって無失点。しかし、味方が先制した直後の3回。先頭の中島卓也にこの日早くも4つ目の四球を与えると、一番・西川遥輝への初球、カーブが曲がり過ぎて田村が捕り切れず、中島卓が二進。西川の左前打で同点とされる。

 ただし、「変化球は風の影響を受けたが、田村が有効なボールを選んでくれた」と振り返ったように、コントロールすることさえできればこの日のカーブとシンカーは“魔球”。それを必死に低めへ投げ込み続けた。5回、中島卓に中前打を浴び、2、4回に続く先頭打者の出塁を許しながら、西川をカーブで、大谷をシンカーで空振り三振。近藤に6つ目の四球を与えるも、四番・中田翔からやはりカーブで空振り三振を奪うと、「自然に出た」という“らしくない”ほどの大きなガッツポーズを見せ、5イニングでマウンドを後にした。

 その後、チームもルーキーの初勝利を完全バックアップ。6回を終えて4点のリードを奪っていたものの、7回大谷智久、8回内竜也、9回益田直也の必勝リレー陣を惜しみなく繰り出し、5対1の完勝へつなげた。

 笑顔を浮かべながらも「うれしい気持ちはあるが・・・

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