この男を一躍スターダムに押し上げた変化球だ。独特の軌道と緩急で打者を幻惑し、ウイニングショットとしても使える若き右腕の大きな武器。その全貌を明かす。 取材・構成=松井進作、写真=高原由佳、小山真司 僕がこのボールを投げようと思った最初のきっかけは、岸(
岸孝之、
楽天)さんの浮き上がるようなカーブに衝撃を受けたからなんです。高校生だった2008年の
西武対
巨人の日本シリーズ、まだ入団2年目の岸さんがカーブで相手打線を面白いように翻弄ろうしているのをテレビで見て、「自分もあんなボールを投げてみたい」と思ったんですよね。それから少しずつ練習し始めて、大学(山梨学院大)に入って恩師でもある
高橋一三さん(元巨人ほか)にも投げ方を教えてもらいながらマスターしていきました。
これからカーブを覚えたい方にまずアドバイスするなら、とにかくひねらないことと、無理に「曲げよう、曲げよう」と思わないことです。下記で紹介した握りのようにまずはしっかりと中指と親指をボールの縫い目に掛けて持ち、あとはストレートと同じ腕の振りで“空手チョップ”みたいに腕をムチのように振り下ろして投げるイメージです。どうしても最初はひねってしまいがちですけど、そこは意識的に我慢して自然にボールが腕から“抜ける感覚”を練習の中でつかんでいってください。
その感覚を身につけるためのポイントは、もう頭の上ぐらいでボールをすでに離しているイメージを自分の中で持つことです。実際にストライクゾーンにコントロールするにはもう少し先で離さないといけないんですけど、ボールを頭の上で“置いてくる”ぐらいの気持ちで投げるのがコツです。僕も最初のころはその感覚が分からなかったですけど、練習で何度も何度も繰り返し投げていくうちに必ず分かってくるので、根気よく練習してみてください。
あとはリリースする瞬間に中指に力を込めるのもコツの1つです。それこそ押し込むという表現が一番分かりやすいかもしれません。人さし指と親指でボールを抜こうとするのでははなく、最後は中指に神経を通わせて投げることも上達への近道だと思います。
カーブの一番の効用は緩急の差はもちろんですが、相手バッターの・・・
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