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プロフェッショナル解説 打者の視点

和田一浩が打者視点で語る変化球「打者を“だます”のがいい変化球」

 

19年の現役生活で通算2050安打、319本塁打をマークした和田一浩氏。打率も残せる長距離砲が対応に苦慮した変化球とは?打者の視点から魔球を解説していく。
取材・構成=小林光男、写真=BBM


スイング後に「フォークだ」


 フォークの概念を崩している──。19年の現役生活で対戦した投手の中で、変化球No.1と感じたのは大谷翔平(日本ハム)のフォークでした。まず、投げた瞬間の軌道はほぼストレートと一緒。球速も150キロを超えることがあり、さらになかなか変化しない。本当に打者の手元で落ちる感覚なんです。特に調子がいいときは、バットを振ったあとに「フォークだ」と分かるくらいでした。だから、ストレート待ちでは対応することができません。最後は狙ってフォークを打ちにいきましたけど、それでもとらえるのは非常に難しかったです。

 それと、全盛期の新垣渚(元ソフトバンクほか)のスライダーも魔球と呼べる変化球でした。とにかく落差が大きい。打者目線でいうとボールがインハイに向かってきて「ぶつかる」と思ってピクッと動いてしまうところから、アウトローへ大きく曲がっていく感じ。ビシッと決まったときは太刀打ちできませんでした。前田健太(現ドジャース)のスライダーも素晴らしかったですが新垣と違って横滑り。ストレートの軌道から打者のギリギリ近くで少し曲がって打ち損じてしまうスライダーでした。

新垣のスライダーも“魔球”と呼べる変化球だった


 ほかにもあります。ダルビッシュ有(現レンジャーズ)のシュートもほぼストレートの軌道。そこから最後、内側へキュッと食い込んでくる。ストレートだと思って打ちにいってしまう、打者がだまされやすい変化球でしたね。野村祐輔(広島)のチェンジアップも同様。ストレートと同じ、きれいな縦回転で投じられる。でも、ボールが思ったより来ない。これもストレートと軌道が同じですから、最後の最後までチェンジアップだと判別しづらいんです。ただし、これは1年目に限り、2年目からシュート回転し始めて、ストレートの軌道からずれるようになり、対応しやすくなりました。

変化球攻略は失投を打つのみ


 基本的に攻略しづらい変化球とは、いかに打者の手元で変化するかということと、投げた瞬間にストレートと見分けがつかないボールになります。打者はボールの軌道で球種を判断していますから、それがストレートと同じであればあるほどだまされてしまうわけです。当然、キレのいいストレートも必要。変化球のタイミングで待っていて、ストレートに対応されてしまうのではまったく意味がありませんから。“だます”といえば代表的なのは・・・

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