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2017阪神タイガース特集

著名人虎ファンからの熱いエール ダンカン「今年の阪神はミステリーまみれ。セントラルは阪神を優勝させる会が背後で動いています」

 

阪神への熱いエールを2人の著名人阪神ファンにお願いしたが、1人目は、必ずしも「エール」とは言えないかもしれない。ご存じ、ダンカン氏。阪神ファンきっての理論家といっていいだろう。球場にもたびたび足を運び、阪神のゲームはスコアブックをつけながら細かくチェック。その温かくも辛口の言葉は「エール」というより「檄(げき)」だ。
取材・構成=井口英規、写真=BBM、写真提供=オフィス北野 ※記録は6月4日時点


ふつうは最下位ですよ?


 今年はねえ、優勝はしますよ。それは当然です。

 いま広島と1ゲーム差の2位ですが、交流戦の日本ハム戦を終えて貯金が10あるんですよ! ただ、本物の強さかと言われると、まったく違う。失策42は12球団でダントツですよ。正直、首位争いをする野球じゃありません。

 打線を見ても、捕手の梅野隆太郎に28打席と25打席の長〜い無安打があります。「梅ちゃんはリードで神経を使っているし、打順八番だからいいじゃねえか」と言うかもしれないけど、三番の糸井嘉男にも28打席無安打があります。こんなチームが優勝争いなんてしますか。せいぜい4位でしょ。

開幕からスタメンマスクをかぶる梅野[左]。ただ、もうちょっと打撃は……


 投手では、チーム内で日本人のエースと言われる藤浪晋太郎が、3勝してるけど3敗。フォアボールは、規定投球回にいってないのにリーグ最多です。しかもいまは二軍でしょ。そんなチーム、ふつうは5位がやっとですよ。

 ミステリーですね。すべてがミステリーです。スタメンだって決まっているかと言えば違う。捕手の梅野と外野ではライト・福留孝介、レフト・糸井、サードの鳥谷敬は固定ですが、昨年の新人王の高山俊もレフトで出たり出なかったり。内野はファーストが中谷将大原口文仁、セカンドは上本博紀だけど、一時期故障で抜けている。ショートは北條史也できたのが、いまは糸原健斗、ついにはセンターでゴールデン・グラブを獲った大和がやっています! そんなチーム、ふつう最下位でしょ! これで貯金10は、ミステリーとしかいいようがありません。

ミラクルゲームもいっぱい


 5月6日の広島戦[甲子園]で、0対9からひっくり返す球団記録で勝利。しかも8対9からVTR判定もあったじゃないですか。ホームにかえってきた江越大賀のセーフのジャッジが、アウトに覆ったシーンです。僕は、あの甲子園球場で審判がアウトに変えられるはずがないと思ったんですよ。殺気立った虎ファンがいるのに、この人たちは殺されるんじゃないかって。そしたらその後、糸原が同点タイムリーでしょ。びっくりしました。もしや審判の演出だったんですかね。

 5月27日、甲子園のDeNA戦もすごかったですよ。福留が流してレフトポールに当てる6号本塁打。糸井も6号を打って新聞はそっちを大きく扱っていましたが、もう1人6号がいました。右打者の中谷です。しかも、彼もレフトポールに当てたんですよ。あの広さの中で、2本がレフトポールに当たるなんて、何万分の1の確率じゃないですか。間違いなく、1985年、あのバックスクリーン3連発より確率は低いと思いますよ。

 それにねえ、阪神というチームは、「ここはなんとかしなきゃ、勝たなきゃ」という試合にコロっと負けるんですよ。1973年、勝てば優勝の巨人との最終戦直接対決(10月22日甲子園)でも0対9で負けた。歴史的にそうなんです。だから、5月9日、巨人の菅野智之が52年ぶりに巨人・城之内邦雄に並ぶ4試合連続完封かという試合も「ああ、どうせやられるんだろうな」って思ったんです。そしたら初回にいきなり糸井のタイムリーで試合も勝った。これまでの阪神の歴史にはなかったんですよね。これもミステリーですね。

 5月23日の巨人戦[甲子園]、鳥谷の顔面死球もそうですよね。鼻骨骨折したのに、次の日に試合に出るなんて思いましたか?しかも、試合も勝って、連敗を止めた。ただねえ、鳥谷も、もう少し世間の同情を引けばいいのに、すぐフェースマスクを外しちゃったでしょ。つけてたほうが話題になるし、けっこうカッコよかったのにね。もったいないな。

 まだ50試合前後なのに、ミラクルなゲームがたくさんあります。ただ、これで首位じゃないのも、ある意味ミステリーですよね。

岡崎はなぜ起用されるのか


 今年は大きな連敗がないのが強みですね。同一カード3連敗も、まだありませんからね。

 まずメッセンジャーがすごい。たぶんメッセは全身の血を入れ替えたんでしょうね。だってマウンドでカリカリしないでしょ。前は外角を「ボール」って言われたら、サインにクビを振っても、同じところに投げてた。それが今年は、「ああ、ボールですか。じゃあ、次は遅いカーブいきま〜す」くらいで投げてます。審判も、「ああ、メッセさん分かってくれたんですね。はい、ストライク」って。かなりボール球をストライクにしてもらってますよ、マジメな話。

 無理に三振を狙うのではなく、アウトにすればいい、というピッチングにもなっているのもいいですね。リズムがすごく良くなって、打線の援護ももらっています。一つは、チームにとっても大きなことですが、あと1年やると日本人扱いになるのもあるでしょう。今まで以上に日本の野球になじもうとしていますね。

 その逆が能見篤史。相変わらず援護が・・・

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