週刊ベースボールONLINE

2017 ドラフト中間報告

中村和久(元巨人チーフスカウト)が斬る ドラフト番付 評価トップは満場一致で清宮幸太郎!!

 

スカウト歴25年の中村和久(元巨人チーフスカウト)氏が現段階での「実績」を最優先とし、「素材」も加味した評価により番付表36人を作成した。当然、高校生と社会人は今夏、大学生については秋の結果次第で、大きく変動する可能性を残している。

高校通算103本塁打で最後の夏を迎えた早実・清宮。技術評価でもプロのスピードに対応できる/写真=松岡昌平


「表の1位」(第1回入札)は社会人BIG3と西の怪物・安田(履正社高)で当確!!


 ドラフト1位は12球団同時入札。この「第1回入札」が2017年、各球団の「No.1評価」である。「第1回入札」はスカウト内では「表の1位」とも言われており、中村氏は「5人は間違いない」と太鼓判を押す。

 その上位5選手とは清宮幸太郎(早実)、鈴木博志(ヤマハ)、安田尚憲(履正社高)、西村天裕(NTT東日本)の東西横綱4人に加えて、東の大関に位置する田嶋大樹(JR東日本)が堂々の最上位候補である。

「清宮と安田、どちらを取るかで評価は割れると思います。安田は高校生としての飛距離は規格外で、将来のクリーンアップを任せられる。一方、清宮のほうが技術評価としては上であり、スイングスピードが鋭く、プロの速球にも早い段階で対応できるのではないでしょうか」

 説明するまでもなく、清宮と安田は左のスラッガー。投手の「即戦力」が欲しい場合は2人を回避し、社会人BIG3にシフトチェンジする選択肢も、ごく一般的な考えと言える。

 昨年の例を挙げれば、東京ガス・山岡泰輔オリックスが「表の1位」で一本釣りして成功を収めたように、経験豊富な社会人投手は、実戦向きかつ良い意味で“使い勝手”がいいのである。

「鈴木は最速155キロと真っすぐに力がある。西村はスライダーのコントロールが良く、安定感も抜群。田嶋はやや好不調の波があるとはいえ、左でパワーのあるボールは魅力です。入社3年目。大学3年生と比較しても、あれだけ投げられる投手はいないです」

NTT東日本・西村[左]とヤマハ・鈴木はともに今季、実戦で結果を残し「即戦力」の声が高まる/写真=桜井ひとし


 鈴木康平(日立製作所)もBIG3に迫る勢いがある。6月の大学選手権での好投を経て、近藤弘樹(岡山商大)、小久保気(四国学院大)、草場亮太(九産大)の3右腕も評価を高めている。

 清宮、安田に続く野手は、意外にも櫻井周斗(日大三高)だ。昨秋の東京大会決勝では早実・清宮から5打席連続三振、センバツでも安田から3三振と、伝家の宝刀・スライダーが話題を集めた。今夏も当然、左腕エースとして投げていくが、中村氏は三番打者としての「打力」を評価しての大関だ。

「ウエーバー(2位)では絶対に残っていない。スイングが出来上がっており、ボールを迎えにいかない。軸回転の技術では阪神糸井嘉男を彷彿とさせます。仮に大学進学すれば、4年間で100安打は軽く超えるでしょう」

 櫻井の同僚の金成麗生(日大三高)は、櫻井とは逆に左打者の評価ではなく最速150キロの投手として、だ。もともと投手だが昨秋、パワー満点の打撃を生かすため一塁転向。今春はマウンドに復帰して、存在感を示している。

「ストレートの角度(193センチ)に特長があり、プロでは中継ぎとしても重宝されるのでは。十分、一軍で通用する球筋、キレだと思います」

 内野手では宮本丈(奈良学園大)と田中俊太(日立製作所)が三役入りを果たした。野手を補強ポイントとした場合は、最適任のポテンシャル。捕手ならば小畑尋規(立正大)が「勝てる捕手」として期待できる。

 150キロ左腕・宮台康平(東大)は今春未勝利、通算14本塁打の岩見雅紀(慶大)も今春5本塁打も「内容がやや物足りない。秋にもう1回、見ないと」(中村氏)と、現時点では厳しい評価も、奮起に期待。

「最近の高校生の傾向を見ると、甲子園でしっかり投げた投手が、プロでも出てくる確率が高い。夏までにどれだけ、仕上げてくるか。各球団のスカウトは、地方大会の日程調整に、頭を悩ませることになります」

 今回は番付入りしなかったが、丸山和郁(前橋育英高)、石川翔(青藍泰斗高)、金久保優斗(東海大市原望洋高)、本田仁海(星槎国際湘南高)、岡林飛翔(菰野高)、宮原大樹(宇治山田商高)と将来性高い好投手も夏次第で急浮上の可能性もある。大学、社会人を含めて夏、秋を経ての番付変動に、興味は尽きない。

JR東日本・田嶋は集大成の都市対抗でどんな投球を見せてくれるか、興味は尽きない/写真=窪田亮



履正社高・安田は今春のセンバツでも本塁打を放っており、スカウトの高評価は不変だ/写真=川本学

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング