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2017 ドラフト中間報告

【ドラフト】12球団ドラフト予想 最新スカウティングリポート2017

 

シーズンも折り返しを迎えた。各球団スカウトは春先にリストアップしたドラフト候補を絞り込む時期に入っている。ここでは現時点での12球団の動向を探っていきたい。※球団の並びは7月4日現在の順位順

2016年プロ野球ドラフト会議/写真=BBM


楽天・大学ノーヒッター左腕に熱視線


 楽天が熱視線を送っているのは最速152キロ左腕の東克樹(立命大)だ。先発左腕不足がその理由。小柄な体から放たれる威力ある直球に加え、チェンジアップなど変化球も高く評価している。2度目のノーヒットノーランを達成した今春の関西学生リーグを視察した球団関係者は「(社会人、高校を含めて)現時点では一番」と語る。また高校生では最速149キロ右腕の本田仁海(星槎国際湘南高)もリストアップ。長島哲郎スカウト部長は「しなやかで柔らかく、ベース上での球質が良い」と高評価を与えている。

ソフトバンク・清宮と安田を密着マーク中


 例年、ドラフト1位は「その年最も評価が高い投手」というのが既定路線だが、今年の1位指名の筆頭候補は清宮幸太郎(早実)。早実OBの王貞治球団会長もかねてからバッティングの柔らかさや対応力を高く評価。同じく超高校級と評される安田尚憲(履正社高)とともに今後も密着マークの構えだ。仮に投手指名の場合でも、今季は故障者続出で投手事情が厳しいだけに、即戦力の比重が大きくなる可能性が。先発左腕不足も加味し、田嶋大樹(JR東日本)、宮台康平(東大)らが候補に挙がる。

西武・左腕獲得へ金成に大注目!


 身長193センチの大型左腕・金成麗生(日大三高)に熱視線を送っている。6月15日の星槎国際湘南高との練習試合では、11球団38人のスカウトが訪れたが、西武はその中でも最多となる7人で視察した。この試合、同じくドラフト候補である本田仁海と投げ合い、5回1安打無失点。最速149キロをマークし、習得中のスプリットも披露した。渡辺久信SD兼編成部長は「スケールが大きい」と大絶賛。現在、一軍の先発ローテーションに入っている左腕は菊池のみという状況。先発左腕はノドから手が出るほど欲しい存在だ。

オリックス・隠れた逸材も注視しながら


 5月30日に行われたスカウト会議では、清宮幸太郎(早実)、安田尚憲(履正社高)らの高校生に、大学生の岩見雅紀(慶大)、山崎剛(国学院大)ら、野手を中心に映像でプレーを確認した模様だ。また、佐々木健(小笠高)、山本拓実(市西宮高)の甲子園未出場投手や、軟式の中山匠(キャプティ)にも注目するなど隠れた逸材の視察にも余念はない。2月には巨人二軍との練習試合に登板した田嶋大樹(JR東日本)を長村裕之球団本部長が視察するなど、多くの選手の動向を注視し候補を絞っている段階だ。

日本ハム・本命は清宮、それ以外は投手中心


 その年のNo.1選手を獲得する方針は変わらないが、それは今年も同じ。ドラフト1位の筆頭候補は清宮幸太郎(早実)だ。6月4日に行われたスカウト会議では、13人に絞り込んだ1位候補に名を連ねた。清宮以外は投手中心とみられる。投打「二刀流」の大谷が今オフにポスティングシステムを利用してメジャー球団への移籍の可能性がある。それだけに即戦力投手に加え、野手の逸材もしっかり獲得したいところ。また懸案事項である左腕不足解消に向けて、田嶋大樹(JR東日本)や宮台康平(東大)も上位指名候補だ。

ロッテ・和製大砲の確保が優先事項か


 先発、リリーフとも左腕不足は深刻で、152キロ左腕の田嶋大樹(JR東日本)や櫻井周斗(日大三高)への熱視線は変わっていない。ただ、今季はこれまでの投手偏重だったドラフト戦略の弊害が顕在化し、攻撃力低下に苦しんでいる。今秋は未来の大砲候補確保を優先しそうだ。ドラフト候補はまだリストアップの段階だが、1位指名候補の筆頭は清宮幸太郎(早実)で、安田尚憲(履正社高)にも同等の評価を与えている。清宮については林信平球団本部長が夏の西東京大会を視察し、早々とゴーサインが出るかもしれない。

広島・手薄な即戦力左腕を中心に


 5月24日に行われた今年2回目のスカウト会議では指名候補を167人に絞り込み、その中で約15人の上位候補については映像を見ながらのチェックとなった。新井の後継者として、安田尚憲(履正社高)、清宮幸太郎(早実)の高校生内野手スラッガーが挙げられる一方、田嶋大樹(JR東日本)ら実力派投手の名前もあった。松田元オーナーは「左の即戦力投手が欲しい」と現状で手薄なポジションを指摘する一方で、清宮については「打撃がすごい。高めも打てるようになっている」と高く評価している。

阪神・清宮と安田をドラフトの軸に


 現在のところ、清宮幸太郎(早実)をドラフト1位筆頭候補としている模様だ。今春のセンバツ期間中には坂井信也オーナーが甲子園球場で実際にプレーを電撃視察している。清宮の早大進学の可能性も含めて動向に注視しているという。また、スラッガー・安田尚憲(履正社高)も1位候補にリストアップ。15年高山、16年大山に続き、3年連続で野手を1位指名する可能性は十分ある。6月30日のスカウト会議では高校生を約50人、社会人を約30人リストアップ。最速152キロ左腕・田嶋大樹(JR東日本)らも上位候補だ。

DeNA・即戦力右腕と高校生捕手狙いへ


 3年連続で即戦力左腕が当たっているだけに、井納の後を継ぐ即戦力の先発右腕が欲しいところ。社会人では鈴木康平(日立製作所)、鈴木博志(ヤマハ)、大学生では鍬原拓也(中大)らが候補に挙がる。即戦力という意味では左腕の田嶋大樹(JR東日本)もいい。ただ、高校生野手が豊作な今年のドラフトに限っては清宮幸太郎(早実)、安田尚憲(履正社高)らを指名する可能性もあり、筒香がFAになるまでに育てたいところだ。また、戸柱、高城、嶺井に続く次世代の高校生捕手も1人獲得したい。

中日・社会人クローザーにも熱視線


 6月9日に行われたスカウト会議では高校生を中心にチェックした。昨年から徹底マークしている清宮幸太郎(早実)の評価は不動で、1位有力候補であることに変わりはない。だが、清宮は複数球団による指名や、大学への進学も予想されるため、ほかの選手についても調査を進めている。その一人が鈴木博志(ヤマハ)。鈴木や柳、小笠原ら若手先発が台頭するチーム事情を踏まえ、最速155キロを誇る社会人屈指のクローザーに舵を切る可能性も。全体では約200人を指名候補としており、さらに厳選していく。

巨人・清宮獲得は変更なしも……


 6月12日のスカウト会議時点で1位候補は10人。最上位に位置付けられているのが高校通算100本塁打超えの清宮幸太郎(早実)だ。大学進学を含め進路は未定だが、岡崎郁スカウト部長も「変わらないと思う。最後まで」とブレずに追い続ける。若手が伸びてこず、育成の必要性が叫ばれるチーム状況の中で、確かに未来の大砲は補強ポイントではある。しかし、今季まさかの13連敗を喫するなど5位低迷中だ。清宮の進路次第では最速152キロ左腕・田嶋大樹(JR東日本)など即戦力の獲得にシフトする可能性も十分にある。

ヤクルト・大分の146キロ右腕にも注目


 ここ5年、ドラフト1位には投手を指名しているが、今年は高校No.1スラッガー・清宮幸太郎(早実)獲得へ参戦することになりそうだ。小川淳司シニアディレクター(SD)は「打撃と存在感に目を見張った。打席ではストライクを必ず振る集中力を見せる」と評価している。また、同じ高校生の中では、最速146キロを計測している長身右腕・田中瑛斗(柳ケ浦)も上位候補に挙がる。6月の練習試合を視察した小川SDは「体幹が強くなれば、ストレートもどんどん速くなる」と、その伸びシロに期待していた。
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