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スペシャル師弟対談

岩見雅紀(慶大-楽天2位)×大久保秀昭(慶大監督) 「陸の王者」師弟対談

 

大学4年間、汗を流した慶大日吉グラウンド。照れくさそうな大久保監督[左]からも、自然と笑みがこぼれた


指導者との出会いによって、野球人生は大きく変わる。しかし、それは「我慢」の連続だった。短所よりも長所を伸ばす方針により、陸の王者・慶應から、右の和製大砲が生まれた。神宮の杜で21本塁打を放ったスラッガーは、2018年から杜の都・仙台で羽ばたこうとしている。
取材・構成=岡本朋祐、写真=長尾亜紀

ラストシーズンを前に「10本塁打」を厳命


不器用なタイプかもしれない。岩見は今でも打撃練習で「ちょっと(感覚が)ずれると、空振りする」と、不安が絶えない。この3年間、春と秋のリーグ戦前の展望取材でグラウンドを訪ねると、大久保秀昭監督との話題の中心は決まって「岩見雅紀」。187センチ108キロは、どこにいても目立つ。飛ばすことに定評はあったが、苦手な外野守備を含め、未完成の部分が多かった。しかし、「和製大砲」としての可能性を信じた指揮官は、いくら三振しても外そうとしなかった。純粋かつ天真爛漫な性格だからこそ、根気強く向き合い一歩一歩、前へと進んだのだ。

岩見 監督と一緒に人前で話す機会は初めてなので、何をしゃべっていいのか……。緊張します……。

大久保 よく言うわ!(笑)。注意することくらいしか僕は言わなかった。右から左? 聞いてなかっただろ(苦笑)。

岩見 そんなことないです。感謝しています。記者の方によく「印象に残る言葉は?」と聞かれるんですが、実はあまり、覚えていなくて。要所で、技術的なアドバイスをもらったことはありますが……。

大久保 大したことはやっていませんよ。選手は勝手に育つ。手取り足取り教えても、ね。迷わないようにさせるだけです。

岩見 野球のことよりも「私生活をちゃんとしなさい」とか、この3年間、自己管理の部分で指導されることのほうが多かったように思います。

大久保 野球人らしくなった。顔つきからして、この1年で面白いほど変わった。以前は野球に対して深く追求もしないし「遠くへ飛ばせばいいんでしょ!」みたいなスタイル。そこから変化した。

岩見 人として未熟で、上(先輩)に対しても迷惑をかけ続け、(昨年は)許してもらった1年。ずっと時間をかけて指導してもらい、自分たちの代になってもう、甘えは許されない、と。

大久保 僕は岩見に対して相当、我慢したと思う。強制は極力せず、締めつけようと思えば、いくらでもできたが、それをやったら・・・

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