1998年度の高校球界のトップに立った横浜高の強さはどこにあったのか。ここでは打倒・横浜に挑んだ挑戦者、準々決勝&決勝を担当した球審、歴史を目撃した記者の3つの視点から迫る。 文=楊順行(スポーツライター) 写真=BBM 京都成章高との決勝で4回裏に松本勉が先制ホームランを放つ
PLの急成長をうながす
あれ? アイツ、いま左打席じゃなかったか──横浜高を率いる渡辺元智監督は、そう思ったそうである。明徳義塾高との準決勝。前日にPL学園高との延長17回を完投した
松坂大輔が先発を回避し、8回の攻撃を迎える時点で横浜は、大量6点のリードを許していた。野球は筋書きのないドラマといわれるが、明徳の先発・
寺本四郎は7回まで、横浜打線をわずか3安打6三振と完璧なデキ。筋書きはほぼ、明徳の勝利だ。だが横浜は8回、敵失から3連打などで寺本をKOし、代わった
高橋一正も攻めて4得点。9回は松坂がレフトからマウンドに上がって無得点に抑え、まだ2点差とはいえ球場全体が横浜を応援するムードになっていた。
その、9回裏。九番の佐藤勉がヒットで出ると、続く加藤重之が高橋の初球でセーフティーバントに成功する。渡辺の回想・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン