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新時代の二番打者たち

広島・菊池涼介 バントあり長打ありの独自の二番像

 

広島の二番はここ数年、ほぼ菊池涼介のみだ。バント数は常にリーグトップクラス。しかし、二番打者として持つ価値はそれだけにとどまらない。「旧来型」とも異なるその魅力とは。
文=前原淳


犠打多いが他の役割も


 4連覇を目指し、首位・巨人を追走する広島の二番は菊池涼介が不動の地位を築いている。2013年途中から広島の二番打者として中軸へつなげる役割を担う。近年は二番に強打者を置く打線もある中で、菊池涼はどちらかといえば従来の二番イメージである、つなぎの役割に近い。

 野村謙二郎前監督だった13年に球団記録のシーズン50犠打を記録し、15年以降はリーグ最多犠打を記録し続けている。昨年9月には史上20人目となる通算250犠打を達成。バント技術に優れ、球団の伝統を継承する緒方孝市監督の広島野球の体現者となっている。

 ただ、菊池涼を古典的な二番打者の枠にはめてはいけない。バントだけでなく、右打ちの技術にも優れ、作戦の幅は広がる。つなぎ役だけでなく、自ら安打でチャンスを広げるチャンスメーカーにもなれる。最多犠打を記録した16年は最多安打のタイトルも獲得していることが能力の高さを証明している。最多犠打と最多安打を同時に記録した選手は史上初だった。

 前後の打者との連携の高さが、二番・菊池涼をより怖い存在にする。「タナキクマル」と呼ばれた3人が広島の3連覇を大きく支えた。3人の中で最も自己犠牲を払っていたのは二番・菊池涼だった。25年ぶり優勝の16年は前年の49犠打から23犠打と数を減らした。無死一塁でも簡単に犠打のサインは出さない。そこには指揮官の狙いと二番打者への信頼があった。「状況に応じて序盤から犠打をさせることはあるが、常に立ち上がりから犠打をさせるつもりはない」と緒方監督。走者が一塁にいることで、一、二塁間が空き、ヒットコースが広くなる。菊池涼の右打ちの技術があれば、無死一、三塁のシチュエーションをつくることもできる。さらに・・・

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