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巻頭スペシャルインタビュー 球界を沸かせた男

阪神・近本光司インタビュー 1勝の重みを来季へ 「短距離選手の走法を野球につなげたいが、まずは2年連続で盗塁王を獲りたい」

 

ルーキーながらセ・リーグの盗塁王に輝いた。さらに長嶋茂雄(巨人)が持っていたセ・リーグ新人年間最多安打の記録も更新。昨季最下位のチームを一番打者として3位へ押し上げる貢献を見せた。まさに今季のセ・リーグを沸かせた一人である。1年目からなぜそこまで活躍できたのか……さまざまなことを考え抜きプレーする姿がそこにあった。
取材・構成=椎屋博幸 写真=梅原沙織(インタビュー)、BBM


自分の走塁を理解し限界も知る


──盗塁王獲得おめでとうございます。

近本 ありがとうございます。実は『獲れちゃったよ』という感覚しかないです(笑)。7個差をつけられたときは『これは無理やな』と思ってましたし。

──最後は追いつき、追い越しました。

近本 終盤に走る機会が増えたのが大きかったと思います。新人安打記録がかかっていたので、ヒット狙いのバッティングをしていたのがよかったのかな、と。しかも一、三塁などの走りやすい状況になることが多かったです。

──ヤクルト山田哲人選手の連続盗塁成功が途切れ、走る機会が減りました。

近本 そうなんですよ。ウチと試合をしたときにも、哲人さんは走られたんですが、梅野(梅野隆太郎)さんが阻止してくれました。その瞬間に「もしかしたらこれでいけるんちゃうかな」と。

──そう思った理由があるのでしょうか。

近本 哲人さんの場合、トリプルスリーの記録があり、連続盗塁を失敗した時点で33個と目標はクリアしていました。盗塁王もすでに過去に獲得しているし、チーム状態もよくなかったので、2度刺されたことでもう走らないんじゃないかと。

──しっかりと分析したのですね。

近本 僕も含め上位陣が数字を伸ばせない状況が続いていたので「ここが踏ん張りどきや」と思っていたときでしたし、筒井(筒井壮外野守備・走塁)コーチとは1カードにつき1つは走る目標を立てていました。走りやすい投手が必ずいるのですが、ヒットが出ずに走れなかったときなどは「やってしまった」と。でも試合後に他球場の結果を見ると上位の人が走っていない状況が続いていました。

──そのときには安心するんですね。

近本 明日への勇気になっていました。先ほども言いましたが、安打記録を狙うためにシングルヒット狙いに切り替えた。でも・・・

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