週刊ベースボールONLINE

第102回全国高校野球選手権大会

地方大会も開催断念 約3800校15万人の球児が涙 「夏の甲子園」79年ぶり中止

 

日本高等学校野球連盟は5月20日、オンラインでの「第102回全国高校野球選手権大会」の運営委員会と理事会を開き、甲子園大会と、49地区の代表を決める地方大会の中止を発表した。戦局悪化の1941年以来79年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により選手、関係者の安全と健康が守れないとの判断だった。

甲子園球場の外周床面には、春、夏の甲子園歴代優勝校が刻まれた「高校野球記念レンガ」が設置。1941年(第27回大会)は「戦局の深刻化に伴い中止」とあり、今夏はそれ以来、79年ぶり3度目(第4回大会の1918年は米騒動)だ/写真=宮原和也


あらゆる可能性を模索「最終決定」の背景


 甲子園と地方大会は紐(ひも)づいている。全国47都道府県の49地区代表校(北海道は南北、東京都は東西)を決める地方大会が行われなければ、全国大会を開催することはできない。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言は5月14日に39県で解除。直近1週間での感染者数で決められるが、地域によって格差がある。オンラインによる記者会見で取材対応した日本高野連・八田英二会長(大会副会長)は言う。

「医療の専門家からも第2波、第3波が来るのは確実と言われています。完全に終息する見込みは立たず、長期的なウイルスとの戦いになる。安全と安心。積極的に開催するという議論、楽観的な方向とはいかなかった。39県で緊急事態宣言が解除されましたが、学校や部活動の再開の見通しに変わりはなく、そこまで踏み出すことはできませんでした」

 大会会長である主催者の朝日新聞・渡辺雅隆社長は補足する。

「開催できない地方大会があると、大会自体が成り立たなくなる。49地区の見通しが立つのか? さまざまな想定をしてきましたが、すべての地区を万全で実施するのは難しい」

 全国大会(甲子園)の開幕は8月10日。5月20日の選手権第2回運営委員会の判断を受け、理事会で承認。本番まで3カ月近くあり、「結論を先延ばししては?」との声も聞かれたが、日程上はギリギリであった。

「7都府県から全国に広がった緊急事態宣言は、当初、設定されていた5月の連休明けに解除されず延期になった。感染者数が少ない県でも学校活動、部活動停止の期間が長くなっており、影響が深刻になることが明らかになってきた。医学的見地、交通、宿泊などあらゆる可能性を吟味、精査し、ギリギリまで検討しましたが、専門家からの意見も聞いた上での総合的な判断。このタイミングでの決断になりました」(八田会長)

「例年だと6月上旬に抽選会、下旬に開幕する地区もある。(地方大会を)開催すると判断した場合、1〜2カ月、練習する時間がないと危険。全国の状況がまだら模様になっていく中で、49地区すべてで開催できるかということもあった」(渡辺社長)

 地方大会は全国各地で、6月下旬から8月上旬にかけ、約250球場で行われる。感染リスクを完全になくすことはできず、選手や関係者、観衆の安全と健康が最優先された。八田会長は「最初から『無観客』という方針で決めたことではない」と説明。史上初の中止となった3月のセンバツは出場32校が対象であったが、夏は比較にならないほどの規模である。「全国で3800近くの高校、15万人近くの球児たちが・・・

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